24 「私を月まで連れてって」(「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」)
Fly me to the moon
Fly me to the moon (and)
Let me play among the stars
Let me see what spring is like
On Jupiter and Mars
In other words,hold my hands
In other words,baby kiss me
(私を月まで舞い上がらせて
星の間で遊ばせて
木星や火星の春はどんなか見せて
別の言葉で言うなら、私の手をとって
簡単に言えば、私にキスして)
Fill my heart with song
Let me sing for ever more
You are all I long for
All I worship and adore
In other words,please be true
In other wouds,I love you
(私の心を歌で満たして
私を永遠よりも長く歌わせて
あなたは私が待ち望んだ人
私が賛美し崇拝する人
別の言葉で言うなら、どうか私に本気になって
言い換えれば、私はあなたを愛しています)
あまりにも多くの歌手が歌っている歌だが、女の歌手が歌う場合には第一連の「baby kiss me」を「darling kiss me」にして歌うと思われる。どちらかと言うと、女の歌手に似合う歌のような気がする。若い人(もう、それほどでもないかもしれないが)なら、「エバンゲリオン」のエンディング・テーマでこの曲が好きになったという人も多いだろう。あれもなかなか洒落ていて良いものだった。
スタンダード・ナンバーには、前フリのある歌が多いが、これもその一つで、「詩人は簡単なことを言うにも多くの言葉を使うが……」云々という前フリがある。この歌詞のキモも「in other words」の部分にあるのは一目瞭然だが、それを洒落ていると見る人と、幼稚な技巧だと見る人と、二通りに分かれるようだ。もちろん、私は肯定派である。ポップスの歌詞は浅く軽快なものも、深く哲学的なものも、どちらも大事なのであり、そのどちらかしか認めないというのはつまらない偏狭さだろう。
歌詞の中の「worship」や「adore」を大袈裟だというのは馬鹿な考えで、それが「簡単に言えば」―「愛しています」だから面白いのである。