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ロジャー・パルバースと四方田犬彦の共著「こんにちは、ユダヤ人です」の中に、ウッディ・アレンが一番尊敬しているのはベルイマンだ、というパルバースの発言があるのだが、なかなか面白い言葉である。たぶん、アレンはどう努力してもベルイマンにはなれないし、逆もまた同じである。
たとえば、スタンリー・キューブリックがベルイマンになろうとしても無理だろうし、なる気もないだろう。逆もまた同じだ。
ベルイマンの特徴を一言で言えば、「超真面目でユーモアのかけらも無い」ということではないか、と思う。それでいて、見ていてある種の快感があるのが不思議なのだが、ユーモアとは別に、「厳粛な面白さ」というのが映画や文学には存在するのである。人生について、見る者にひとつの次元上昇を体験させる、というのが一番近いのではないか。これは、トルストイやドストエフスキーの小説にも言えることで、優れた純文学の持つ特長だと思う。一見軽く見える「第三の男」でも、人生についての次元上昇を観る者に与えるから、名作なのである。
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プロの漫画家が「趣味の漫画」を描くということ自体が面白いが、漫画家というのはもともと漫画を描くのが大好きだった人間だから不思議なことではない。成功した事業家というのもたいていは仕事をすることが大好きな人達だと思う。
だが、世間の9割がたの人は、残念ながら自分の仕事を辛い労働だとしか思っていないだろう。実際、その仕事を好きになれと言われても無理な仕事がほとんどではないか。闇金の借金回収の仕事が大好きだ、という人がいたら怖いwww




久世番子さんの『クリスタはじめて物語』の1コマ力(ちから)が強すぎて、見るたびに笑ってしまう。かく言う僕の来年の目標の一つは、iPad Pro買ってクリスタ入れて趣味の漫画を描くことなんだけど、趣味ならばまあ苦労ではないだろう(笑)






北村薫「太宰治の辞書」読了。
例の文学少女の主人公が、中年の職業婦人になって、仕事関係もあって、「文学探偵」をする話。私はこのシリーズの探偵役の円紫師匠というのがあまり好きではないのだが、全体の話の進め方は好きだ。読書の快楽、知識を得ることの快楽、考えることの快楽が読む人の心に伝わる。
「いやあ、本っていいもんですねえ」と言いたくなる。

この本の中で、太宰治の「女生徒」の一節が出てくるが、その言葉がいい。



美しさに、内容なんてあってたまるものか。



至言ですな。

「生計を立てる」などというスケールの小さい意識のもと、カネに汲々としながら活動する一切の活動は不自由ですよ。


まあ、「自由でありたい」という過度な思いが神経強迫症にならないことである。
どうせ人間は何かに縛られた存在なのだから。





            

【「プロブロガー」に自由はあるか?】"「生計を立てる」などというスケールの小さい意識のもと、カネに汲々としながら活動する一切の活動は不自由ですよ。それは、プロブロガーもサラリーマンも小説家もアイドルタレントもたぶん同じ。" 



鮎川哲也編「あやつり裁判」感想。
全体のレベルは高い。読後感もいい。推理小説というよりは怪奇小説や冒険小説と言うべきものも中にはあるが、読んだだけの甲斐はある作品がほとんどだ。
順位をつけて短評をしておく。

1位:古風な洋服(瀬下耽):謎の解明や小説の構成が見事で、文学的香気がある。小さな人間悲劇。モーパッサン風。読後に心に残るものがある、という点で一番。推理小説に限定せず、日本の短編小説ベスト100くらいには入れてもいいように思う。
2位:翡翠湖の悲劇(赤沼三郎):恐怖美がある。殺人トリックも説得力がある。「動物を使った殺人」トリックとしては世界短編推理小説のナンバーワンではないか。大正昭和初期風のエロが話にからんでくるのが気に障る人もいるかもしれない。映像化するなら、これが一番だろう。
3位:海底の墓場(埴輪史郎):推理小説というよりは冒険小説だが、読後感は一番爽やか。
4位:あやつり裁判(大阪圭吉):実に筆の立つ作家だと思う。作品も多いようだから、まとめて読んでみたい。推理小説というよりは、「文学的短編小説」がつい面白い方向へ行ってしまったという雰囲気。中島敦の庶民版と言えば褒め過ぎか。ペンネームで損をしている。大阪というだけで下卑た匂いがして嫌いだ、という人間は関東人以外でも多いだろうから。
5位:霧の夜道(葛山二郎):トリックは一番つまらないし、そもそも、話の筋自体が朦朧としているのだが、これも筆が立つ人で、「罪と罰」のポルフィーリーの長口舌を読むような面白さがある。作者自身、それを意識して書いているようだが、これだけ雰囲気を出せるだけでたいしたものだ。



それ以外の作品も、部分的には面白いし、読んで損をした、という作品は無いが、上記の作品には劣るように思う。もちろん、私の好みだけでの話だ。吉野賛十の「鼻」などは、盲人の生理や感覚が見事に描かれていて面白い。だが、トリックの解明が、何となくがっかりさせられる。上記5位の「霧の夜道」よりは、こちらを5位に入れてもいい。
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