#10 差異は金なり
およそ同一性からはエネルギーは生まれないものである。昔、ちょっと売れた本の題で、「時差は金なり」というものがあったが、時差に限らずあらゆる差異は金になると考えていい。男と女の差があるから性差を利用した様々な産業が生ずる。この世が男だけ、女だけならそもそも服さえ着ないだろう。国と国との間に文化や産業の差があるからこそ貿易がおこなわれ、それが一つの産業となる。不平や不満があるということは、そこに一つのビジネスチャンスがあるという事なのである。なぜなら、不平や不満は、あるべき状態と現在の状態との差異から来るものだからだ。大前研一のある本によれば、これからの事業機会として重要なのは、①ライフスタイルの格差、つまり欧米先進国と日本の生活格差を埋めること、②内外価格差を利用すること、③業界の常識を疑うこと、④「売った後」をさらに事業として継続すること、等である。このうち①と②は、差異が事業機会であることを述べたものだ。
人生を一つの事業と考えるならば、さまざまな差異に対して不平不満を抱いて文句を言ってばかりいるのではなく、その差異を金にする、つまり自分の人生を豊かにすることを考えるのが賢い人間というものだろう。考えてみれば、我々の人生そのものが、誕生から死までの時差の中に生じた一つのエネルギーなのであり、差異のエネルギーが人生の原理であるのは当然のことである。
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