忍者ブログ
[311]  [310]  [309]  [308]  [307]  [306]  [305]  [304]  [303]  [302]  [301

「丸正電設」の前で張り込みをする野村の数ショット。

  夜。携帯電話が鳴り、電話機を耳に当てる安田。

  「男」のアジトの前で、携帯電話に小声で話す野村。

野村「安田さんか? チャンスだ。今日は中からどんどん人が出て行っている。数えたら、十五人いた。中に残っているのは、あと一人か二人だ。もしかしたら、まったくカラかもしれん」

安田「よし、わかった。すぐ行く」

  中古のBMWを飛ばす安田。

  自動車の運転席から、「男」のアジトの前に立つ野村が見える。

  手を上げて合図する野村。

  車から下りる安田。二人は、頷き合う。

  塀をよじのぼる二人。

  開いたままの玄関から入る二人。安田はピストルを抜く。野村にもピストルを渡す。

  一階のトレーニング場。常夜灯がついているだけで、人はいない。

  二階の大食堂。同じく、ガランとしている。

  三階の会議室も同じ。

  四階。ここは廊下があり、部屋が幾つかある。その部屋の一つから明かりが漏れ、人のうめき声がする。マキのあえぎ声である。顔色を変える野村。

  ドアから覗く野村。

  ベッドの上で、裸で絡み合う「男」とマキ。喜悦の声を上げるマキ。

  屈辱と憤怒に唇をかむ野村。

  野村の後ろから、安田が彼の肩を叩く。

安田「マキの奴、嬉しそうな声を上げてるじゃねえか。だが、野郎を片づけるのは、後だ。まずは金が先だ」

  もう一つの部屋に入る二人。懐中電灯で照らし出された室内には、金庫らしいものはない。

  突然、部屋の明かりがつく。

  二人が驚いて見回すと、部屋の入り口には、ダークエンジェルズの少年達が並んで、彼らを見ている。

野村(仰天して)「て、手前ら!」

薫(一歩前に出て、冷たい口調で)「やっぱりあんたか。先輩、用事なら、昼間堂々と来てくださいよ。そちらは菊岡組の安田さんだね。ヤクザがうちに何の用です」

野村「うるせえ! サラ金強盗が手前らの仕業だってことはつかんでるんだ。金をよこしな。それとも、死んでみるか?」

  野村と安田、威嚇するようにピストルを誇示する。薫の顔に、かすかな動揺の色が現れる。

安田「おい、兄ちゃん、玄人を甘く見るんじゃないぞ。え? こっちは遊びじゃねえんだ。いきがってると死ぬぜ」

  別の方角から、「男」の声。「金はこっちだ」

  振り返る野村と安田。全員の死角になっていたドアが開いていて、「男」がボストンバッグを手にして現れる。「男」は、バッグをテーブルの上に載せて、それを開いてみせる。中の札束が見える。

「男」「これが欲しいのなら、やろう。そら!」

  「男」はバッグを安田の足元に放り投げる。

  思わず、かがみ込んでバッグに手を伸ばす安田。

  テーブルの上のガラスの灰皿を掴む「男」の手。その灰皿は、鋭い手首のスナップで投げられる。

  宙を飛ぶ灰皿。

  (スローモーションで)安田の額に激突し、額を砕く灰皿。後方にのけぞって倒れる安田。

  (同じくスローモーションで)警棒を腰のベルトから抜き、野村のピストルを持った腕を打ち据える薫。腕が折れる音。

薫(「男」と野村を交互に見て)「こいつ、どうします?」

「男」「その死体と一緒に地下室に閉じこめておけ。食料は一週間分くらいも入れておけばいいだろう。日本の警察やヤクザがここを突き止めるのが早ければ、生きて出られるだろう」

  野村を引き立て、安田の死体をかついで部屋から運び出す少年たち。

「男」「ここも引き上げ時だな。お前ら、要らない物や、足のつきそうな物を一時間で処分して、車に乗り込め」

  闇の中を、車に乗り込むダークエンジェルズたち。次々と車が発進した後、闇の中に静まり返るアジト。(フェイド・アウト)

 

PR
この記事にコメントする
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
冬山想南
性別:
非公開
P R
忍者ブログ [PR]

photo byAnghel. 
◎ Template by hanamaru.