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ドワーフは、木の枝を使って、土の上に何本もの垂直線を描いた。それから、その垂直線の上に水平線を描いて奇妙な図表を描いた。沈黙。私は彼の手の動きを見守った。ドワーフは吸っていた紙巻き煙草の吸い残りを地面に吐き出して、それを足で踏みにじった。
「やる方法はある。もし君が本当に彼女を欲しいのなら」彼は言った。「君は彼女が欲しいんだね?」
「心から」
「彼女を手に入れる方法を聞きたいんだね?」
「お願いする。僕はそれを知りたい」


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「君が僕にダンスを教えると言うのかい?」
「そうしてもいいよ」彼は言った。「だが、一日や二日の練習では何にもならない。最低でも半年くらいの練習は必要だし、それも毎日、一日中やってのことだ。それが誰かの心をダンスでつかむということさ」
私は頭を振った。「それなら、そいつは無意味だ」私は言った。「もしも僕が半年も待たねばならないとしたら、誰か他の男が確実にあの子をモノにするだろう」
「君はいつダンスに行くんだい?」
「明日の夜、土曜日だ。彼女はダンスホールに行くはずだし、僕も行く。僕は彼女に、一緒に踊ってくれと頼むつもりだ」


彼はたぶん正しいのだろう、と私は思った。私はとても平凡だ。誇れるものは何も無い。金も無いしハンサムでもないし、話上手でもないし、特別なものは何も無い。正直、私は悪人ではないし、真面目に働いている。工場の人たちは私を好いている。私は体が強くて健康だ。だが、私は女の子たちが一目惚れするタイプの男ではない。私のような男が、どうして彼女のような美人を手に入れることができるだろう。
「知ってるだろ?」ドワーフは囁いた。「私に助けを求めれば、上手く行くって」
「僕を助ける? どんなにして?」彼は私の好奇心を掻き立てた。
「踊ることでさ。彼女はダンスが好きだ。彼女に、君が優れたダンサーであることを見せるんだ。そうすれば彼女は君のものだ。君はただ木の下に立って、果実が君の手の中に落ちてくるのを待っていればいいだけだ」



私たちは長い間丸太の上に、何も話さないまま座っていた。頭上の高いところでは風が木の枝を鳴らす音が聞こえた。木々の幹の周りを飛びながら、巨大な蝶が現れたり消えたりしていた。
「いずれにしても」彼は言った。「君は僕に何かしてもらいたいことがあったはずだ」
「僕がかい?」私は彼が何のことを言っているのか分からなかった。
ドワーフは木の枝を拾って、それで地面に星を描いた。「あの女の子」彼は言った。「君はあの女の子が欲しいんだろ?」
彼はステージ8の新人の可愛い子のことを言っていたのだ。私は彼がそんなことを知っていたのに驚いた。もちろん、これは夢の中であり、どんなことでも起こり得るわけだ。
「確かに、僕は彼女が欲しい。しかし、彼女を得るのに君の助けを借りることはできない。自分の力でやるべきだ」
「君にはできんよ」
「なぜそう断言できるんだ」
「知ってるんだ」彼は言った。「怒ってもかまわないぜ。だが、事実は、君は自分の力じゃあ彼女をモノにできない、ということだ」


踊っていない時には、このドワーフは弱弱しい、悲しげな生き物だった。おそらく、彼がかつては宮廷の堂々たる名士であり踊りの権威であったと想像できる人はいないだろう。
「少し具合が悪そうだね」私は言った。
「ああ」彼は応えた。「森の中はとても寒くなるんだ。長い間一人で暮らしていると、健康に異常が出てくる」
「それは大変だ」私は言った。
「私にはエネルギーが必要だ。私の血管に流れ込む新しいエネルギー源が必要だ。踊って踊って、雨の中でも風邪を引かず、野原や丘を駆け巡るエネルギーが私には必要なのだ」
「なるほど」私は言った。(訳者注:「Gosh」の訳は、辞書では「えっ」とか「おや」と書かれているが、場面に合わないので、「なるほど」と訳した。基本的には驚きを示す間投詞だが、村上春樹的主人公が、ここで驚きを示すのは私には違和感があるからだ。)


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