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ほかにやるべきマシな事も特に無かったので、私はドワーフの周りをうろつき、空を見上げ、最後には彼の傍に座った。空は灰色で曇っており、黒い雲が西の方へ流れていた。いつでも雨が降り出しそうな感じである。おそらくドワーフは、雨に備えてレコードとレコードプレイヤーをどこかに片づけたのだろう。
「やあ」私はドワーフに言った。
「やあ」彼は応えた。
「今日は踊らないのかい」私は尋ねた。
「ああ、今日は踊らない」彼は言った。

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その夜、あのドワーフがまた私の夢に現れ、そしてまた、私はそれが夢だと知っていた。彼は森の中の開墾地で丸太の上に座り、紙巻煙草を吸っていた。今回は彼はレコードもレコードプレーヤーも持っていなかった。彼の顔には疲れたような印があり、それが彼を私が最初に見た時より老けさせてみせた。だが、彼を革命前に生まれた他の人と見間違えるはずはなかった。彼は私よりふたつかみっつ年上に見えたが、確かなことは言えない。ドワーフとはそういうものだ。



「誰かほかの人とのデートがあるの?」
「全然」彼女は言った。そして彼女はゴーグルと帽子を再装着して、作業台から象の足の爪をつまみ上げ、脚にそいつを当てて合うかどうかチェックした。爪は少しばかり大きすぎたので、何度か素早くやすり掛けをした。
「ねえ」僕は言った。「もし君がデートの予定が無いなら、僕と一緒に行こうよ。一人で行くより楽しいよ。それにいいレストランを知っているんだ」
「それは結構ね。私は一人でダンスをしたいの。あなたもダンスをしたいのなら、誰もあなたが来るのを止めたりはしないはずよ」
「僕は行くつもりだ」
「それはあなた次第」彼女は言った。
私を無視して彼女は働き続けた。今彼女はやすり掛けした爪を足の前の空洞に押し込んだ。今回は完全にフィットした。
「初心者にしては凄く上手いね」私は言った。
彼女は答えなかった。



***














15番作業台(訳者注:前までBenchをそのままベンチとしたが、作業台と訳しておく。)のその娘は細くて小柄だった。まるで中世の絵画の少年のように見えた。
「すみません」私は言った。彼女は私を見、私のユニフォームを見、私の靴を見、そして視線を上に上げた。それから彼女は帽子を脱ぎ、ゴーグルを外した。彼女は信じられないほど美しかった。彼女の髪は長くてカールしており、その目は大洋のように深かった。
「はい?」
「明日の夜、僕とダンスに行きませんか。土曜日です。もしあなたがフリーなら」
「うーん、私は明日の夜はフリーだし、ダンスに行くつもりだけど、あなたとじゃない」
作業場には全体で男女合わせて30人以上はいなかった。全員が帽子をかぶりマスクとゴーグルをしていたので、薄暗い中だと誰がその新人の女の子か分からなかった。私は、いつも一緒に働いていた男を見つけて、どこで彼女を見つけられるか尋ねた。
「足の爪を付ける作業をしている15番ベンチの子だな」彼は言った。「だが、彼女を物にしたいと考えているなら、やめたほうがいい。彼女は爪のように固いよ。ノーチャンスだな」
「ご忠告ありがとう」私は言った。



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