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私は深い深いため息を漏らした。いったいどうしたらいいんだろう。私が思い悩んでいる間、ドワーフは別の不思議な図形を地面に描いていた。一匹の蝶がやってきて、その上に留まった。正確に言えばその中心に留まった。私は恐れていたことを白状しよう。私は自分が最初から最後まで沈黙を守ることができる自信が無かった。だが、それがあの素晴らしい娘を自分の手に抱く唯一の手段であるとわかっていた。私は彼女がステージ8で象の足の爪をはめる作業をしている様を思い描いた。私は彼女を手に入れねばならなかった。
「いいだろう」私は言った。「君の言うとおりにしよう」
「OK」ドワーフは言った。「我々は合意に達した」



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「彼女に一言も口をきかないで、どうして彼女を誘惑できるなんて思えるんだ?」私は抗議した。
「心配するな」ドワーフは首を振って言った。「君が私にダンスをさせる限り、まったく口も開けないでどんな女だってモノにできる。だから、ダンスホールに入ってから君が彼女を手に入れるまで、君が一言も口をきくことは許されない」
「もしも口をきいたら?」
「君の体は私のものになる」彼は、当然のことのように言った。
「そして、僕がまったく口をきかないですべてやり終えたら?」
「そうしたら、その少女は君の物になり、私は君の体を離れて森に帰る」




「そして、私は何の代償も無しに君がその少女を得るのを手助けする気はない」ドワーフは一本の指を上げた。「私はひとつの条件のもとでそれをやるつもりだ。それほど難しい条件ではないが、それでも条件は条件だ」
「それは何だ」
「私は君の体の中に入る。我々はダンスホールに行く。君は彼女にダンスを申し込み、君のダンスで彼女を虜にする。そして君は彼女を君の物にする。だが、君は最初から最後まで一言も言ってはならない。彼女と行きつくところまで行くまで、君は物音ひとつ立ててはならない。それが唯一の条件だ」







私は唇を舐めた。それが本当ならうますぎる話のように聞こえた。私がこのドワーフを体の中に入れたら、二度と出てこないのではないか。私の体はこのドワーフに乗っ取られてしまうのではないか。私があの少女を愛するかぎり、そういう事態にはなりたくない。
「君は怯えているね」私の心を読んだかのように彼は言った。「私が君の体を奪う気だと思っているんだろ?」
「君の話をいくつか聞いたことがある」私は言った。
「思うに、良くない話だろうな」
「ああ、良くない話だ」
彼はずるそうな笑いを浮かべた。「心配するな。私は力があるが、人の体を完全に乗っ取ることはできない。そのためには同意が必要なんだ。お互いに同意しない限り、そういうことはできない。君は永遠に自分の体を乗っ取られたくはないだろう?」
「ああ、もちろんだ」私は震えながら言った。


「簡単な方法さ、本当に。私が君の体の中に入るんだ。私が君の体を使って踊る。君は健康で強壮だ。ちょっとしたダンスを踊ることはできるだろう」
「僕の体調はとてもいい。誰にも負けないくらいだ」私は言った。「だが、君は本当にそんなことができるのか。僕の体の中に入って踊るなんて」
「完璧にできるよ。そして、彼女は君の物になる。そいつは保証するよ。彼女だけではない。どんな女の子でも手に入る」


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冬山想南
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