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宮崎駿の作品の中では、私は「もののけ姫」は一番の失敗作だと思っているが、それがなぜ失敗したかと言うと、宮崎駿には時代劇のセンスが無い、あるいは時代劇の面白さの理由が分かっていないということだろう。私自身、時代劇の面白さの理由が分かっているとは言えないが、「もののけ姫」は時代劇の面白さを狙ってそれに失敗しているのは明白だと思う。その失敗の理由は、彼があくまで「ファンタジー」畑の人間で、時代劇の「リアリティを背後に持つ様式的面白さ」とは大きな懸隔があるということかと思う。
具体的な一番の失敗の理由は「もののけ姫」の存在である。彼女がこの作品の中で持つ意味が私にはまったく分からない。何のために彼女は存在しているのか。その存在が物語の中心的ストーリーの中で何の重要性があるのか。
まあ、最初の「シシ神のたたり」という部分で、既にこの作品は時代劇の持つ様式性や爽快さから乖離して、失敗が決まっていたと思う。妖怪やたたり云々を出すとしても、時代劇ならほんの脇道程度に扱うだろう。時代劇の本筋は、悪役と善玉の闘争の活劇にあるからだ。ところが、この作品では誰が悪役なのか、何が話の中心なのか、さっぱり分からない。したがって、これは「時代劇」ではない、と断定していいかもしれない。では、ファンタジーか。それにしては、「人間の自然破壊が自然の復讐を生む」というお説教臭さが、観客がファンタジー世界に入る邪魔になる。製鉄業が自然を破壊するのが悪なのか、それとも製鉄業で業病患者たちを救っているたたら者のリーダーは善なのか。で、観客はもののけ姫を応援すればいいのか、それとももののけ姫は「人類側」に敵対する存在として、人類側の応援をすればいいのか。
話の中心点が分からないために、観客は宙づりにされた気分になり、画面のさまざまなシーンの面白さの印象だけが残るまま見終わり、この作品をどう評価していいか分からなくなるのである。

と言うことで、私自身への戒めとして、「活劇の面白さはあくまで善玉と悪玉の戦いにある」ことを忘れないようにしたい。善悪の境が分からないほうが高度な作品に見える、という「ダークナイト」的な子供だましを私はあくまで拒否するつもりである。






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澁澤龍彦の本を読んでいて、その中に「同性愛の女が妊娠する」話があったのだが、その女は男と性関係を持った事実はまったく無い、というわけだ。その種明かしは、同性愛相手の女が男と性行為をした後でレズ相手の女とレズ行為をし、その結果、男の精子(精虫)が相方の子宮に送り込まれたわけだ。
まあ、そこで、その妊娠した女が(レズではあるが)まだ処女膜を持っていた場合は「処女懐胎」となって、現代のマリア様になるわけだが、レスビアンで処女膜が保持されるのかどうか、私は分からない。
何かの推理小説のネタになるかもしれないのでメモしただけである。
ついでに言えば、処女膜を持ったまま妊娠した女が出産したら、その赤ん坊は「自分の母親の処女膜を破った男」になり、イエス・キリストがそれであるwww
かなり前から、新しく小説を書いてみたい気持ちになっているのだが、きっかけがつかめない。
能力があれば書きたい構想はあるが、書ける気がしない。
たとえば、大和朝廷成立の頃の話。これは、朝鮮半島の戦乱で国を追われた朝鮮の王族とその集団が日本に渡来して、日本で大和朝廷を打ち立てるまでの話で、その間に悪辣な行いをたくさんするが、それは西部劇映画で白人がインディアンを倒すのと同じような感じで、表面的には痛快な出来事として描きながら、実はモラル的には悪そのものであることが良く考えると分かるような書き方にしたい。つまり、ディケンズの「大いなる遺産」のように、表面(現象)と裏側(真実)を、読む人が同時に分かるような書き方だ。
まあ、自分にそういう書き方ができる気がしないので、長いブランクの精神的リハビリに軽い作品を書いてみたい。つまり、なろう小説的な異世界物、「俺ツエー」物だ。ただし、その舞台はあくまでも中世ヨーロッパなり古代日本なりの現実に合わせる。つまり「科学」をその中に入れないというのが原則とする。
思い切って、縄文時代の日本人の若者か少年を主人公とし、その目で見た朝鮮人の日本侵略のいきさつを描いていくか。ただし、そうすると、日本列島の九州から関東までを舞台とすることになる。まあ、野山しか舞台が無いから描写は簡単かもしれない。ただ、爽快さの無い話になりそうだ。なら、「異世界転生」物にして、現代の日本の少年が弥生時代の日本に転生する話にするか。つまり、現代人の知識で、弥生人(朝鮮人)と戦うわけだ。
あるいは、何度も転生して歴史の節目に遭遇する話にするか。つまり、歴史の中の人物に心だけが入るわけだ。中臣鎌足とかいった、「歴史を真に動かした人物」の中に入るのがいい。
私は、思いついたことは何でもこのブログに書く方針なので、読者はほとんど想定していない。したがって、このブログを読んだ人の心情への配慮もほとんどしない。
以下に書くことは、単なる疑念であり、強いて言えば、「人間存在の見えない限界」についての思弁的(哲学的)な、あるいは社会学的な考察であり、考究のために一般人の感情的な部分は排除している。
などと前置きをしたのは、この文章が身体障害者差別と受け取られる可能性があるからだ。
ちなみに私の父は身体障害者援助組織の長を長い間(死ぬまで)ほぼ無給で務めた人間で、私自身も身体障害者への差別意識はほとんど無いと思うし、弱者差別をほとんど生理的に嫌悪する者である。

私は、身体障害者が頭脳や知性において一般人に劣るとは考えない。(ちなみに、「障害者」と書くだけでそれが「身体障害者」と認知されるのは、「障碍」を「障害」と書く以上にはるかに差別的な慣習だと思うし、「障碍」を「障害」と書くのは長い間の慣習によるもので、新たに「障碍」という字を使え、などという押し付けを私は好まない。「碍」という漢字を「障碍」以外に使う機会はほぼゼロだし、そのためだけのためにこの漢字を国民全員に覚えろと強制するのは理不尽だろう。ただし、「障碍」のほうが正当性のある表記だと学者が言うかもしれないが、そんなのは一般国民の知ったことではない。)日常生活での不便を障害者(以下では字数の簡便化のためにこの語を使う。)自身が克服して何不自由なく暮らしている例もあるだろうし、その努力には深い敬意を払う。また、障害者保護の法律も人道的で妥当なものだ。

で、長い前置きになったが、私がここで考えたいのは、「なぜ障害者から大文豪や大芸術家がほとんど出ないのか」ということである。科学ではホーキングという有名人が出たが、それはまれな例外で、科学者の中でも彼以外にはほとんど聞いたことがない。(私はホーキングの科学者としての「業績」の意義を疑っているが、それはここでは論じない。宇宙物理学というもの自体が私には山師的に見えるのであり、ホーキングだけの話でもない。)
なぜ「障害者から大文豪や大芸術家が出ていない」ことを私が問題にするかと言えば、そこに私は「人間存在の見えない限界」が示されているのではないか、と思い浮かんだからである。

「障害者」を「重病人」と置き換えれば、その問題が浮き彫りになるのではないか。重病人でありながら芸術的活動で凄い業績を上げた正岡子規のような例はいくつかあるが、彼らは生来の障害者ではなく、健常者から重病人になったものだ。つまり、人生の前半では健常者として行動し、思索したものだ。その習慣が重病人となっても発揮されたのが、彼らの芸術的活動だったのではないか。
その一方で、生まれつきの障害者で優れた芸術的業績を残した例を私はほとんど知らない。もちろん、よく見る「身障者による絵画展」などは素人芸術でしかない。人類の歴史で、偉大な業績を残した大芸術家はすべて健常者だったのである。(精神異常者的な大芸術家はたくさんいるが、ここでは純粋に肉体だけの点での「健常者」のことだ。)これはなぜなのか。
ひとつには、過去の人類史の中で、身障者は生きるだけで精一杯で芸術に触れる機会もそれに打ち込む余裕も無いのが普通だったから、という理由はあるだろう。では、大金持ちや権力者の家に生まれた身障者は大芸術家になったか。つまり、生活の余裕の有無というのは、この問題の答えにはならないだろう。
この問題がひとつの「疑問」として私の思考の中で浮かび上がったのは、「身障者は行動が不自由な分、精神活動が人生の大半を占めるのではないか。それなのに、なぜ精神方面で人類に大きな業績を残していないのか」という形だった。
その当座の答えとして、私は「身障者であることで、その人間の精神自体に『見えない限界』が生じることがあるのではないか」という解答を出したのだが、これ(精神の見えない限界)はもちろん健常者の大半にもあることだ。しかし、身障者の事例ほど明確な可視化はされないのではないか。
なぜ身障者の場合、芸術方面で偉大な業績を残すことが少ないのか。その決定的な答えを私はまだ持っていない。またいずれ考察するだろう。




私はフェビアン協会的な漸進的社会主義の支持者であり、キューバに好意を持つ人間だが、キューバ海外派遣医師団の実情は知らないので、下の記事が大嘘か反キューバプロパガンダである可能性はあると思うが、転載して保存しておく。スペイン在住のビジネスコンサルタントがなぜキューバ医師団の内情を知っているのか、という根本的疑問は措いておく。

(以下引用)


 
 
 
shutterstock© ハーバー・ビジネス・オンライン shutterstock

◆キューバの外貨獲得手段、「医療団派遣」

 キューバの年間輸出総額のおよそ半分を稼いでいるのが1960年代に誕生した医療団の外国への派遣である。

 特にそれに拍車がかかったのはベネズエラとブラジルへの派遣であった。フィデル・カストロとウーゴ・チャベスの間でキューバから医療団を派遣する代わりにベネズエラから原油を送るといった協定が医療団の派遣が注目されるようになった始まりであった。

 ブラジルでも労働者党のジルマ・ルセフが大統領だった時点からブラジルの医師が行きたがらない特に過疎地にキューバの医師を派遣していた。その後、ボルソナロが大統領に就任すると、彼らに支払う報酬の75%をキューバ政府が搾取しているとして医療団をキューバに送り返し、それでもブラジルで医療活動を続けたい医師は残留することを容認した。

 またアフリカや中東への派遣も盛んで、それは60カ国以上に及んでいる。コロナ禍でヨーロッパでは昨年イタリアにも派遣した実績がある。また、ラテンアメリカの一部の国でも依然彼らが医療活動を続けている。最近では90年振りに誕生した左派政権のメキシコもこの派遣を検討しているという。

◆ブラック過ぎる「キューバ医療団」の労働環境

 2月に入って、外国に派遣される医療団の実像とキューバの医療の国内事情を告白している記事を3紙で目にしたのでその内容の一部を以下に紹介したい。

「一日に150人の往診をせねばならないと言われていた。かなりの距離を歩かねばならならなくなるので不可能だった。2-3軒を往診に行っただけで、その後は名前と診断書を捏造した。それに必要な患者の名前はキューバの私の友人の名前などを拝借した。このミッションの責任者はそれに気づくことはないし、その確認もしない。というのは、彼らにとって重要なのは(どれだけ多く往診したかという)人数だけだからだ」と語ったのはベネズエラに派遣されていたキューバ人医師のひとりだ。彼が匿名希望でNGO組織「Cuban Prisoners Defenders」にそれを語ったのが米マイアミの『Diario de Cuba』(2月18日付)に掲載されたというわけである。

 更に同紙は彼が次にように語ったのも掲載している。

「15-16人の手術をする必要があったが、手術したのは4-5人。質問に来ただけの患者がいたが、それも手術をした患者としてリスクに加えた。予定通り手術を済ましたということにして、手術した患者に必要な薬を捨てた。責任者は嘘をついてはいけないと指摘するが、そのように手術をしたかのように偽るのが常だった」

「手術室の天井は落ちそうで、戦時下のようだった。手術した患者数を増やすのに抗生物質を恰も使ったかのようにするために捨てていた。或いは逆に抗生物資が不足していた時は患者に有効期限の切れたものを持たせたこともあった」

「時に私立病院に行って我々が日常使用するものを手に入れるために交換するものを持参して行ったこともあった」

「手元にあった小麦粉と交換で車かトラックで往診先まで連れて行ってもらう」

◆派遣先によって環境は違うものの「奴隷」的労働なのは変わらず

 その一方で内科医でサウジアラビアに2019年から2020年半ばまで派遣されていたアレックス・パルド・カストロは医薬品を捨てるといったことはなかったそうだ。また医師の安全を守る防護具などはすべて揃っていたという。

 ところが、同地の医師が受け取っていた収入と比較して彼らが本国から要求されている条件を満たさねばならないことに自分が奴隷の身であることを強く感じていたそうだ。

 本国から規定されている条件というのは彼と政治的に異なったイデオロギーの人とは友達になってはいけないということ。また彼の兄弟がミッションを止めたいという意向があれば、それを告発する義務があるということだ。

 また報酬についても、貰っている給与の75%を政府に譲渡せねばならないということ。サウジの場合はサウジの関係当局がキューバ政府に払うのではなく医師に直接支払っていたということ。それで、医師がその中から75%をキューバに送金する必要があった。しかも、サウジの当局がそれを感知することが無いように、送金の受取人は本人の身内を受取人として送金することになっていた。その義務を守らない場合はキューバに戻されて刑務所に送られるようになる、ということだ。しかも、食費や光熱費は本人が負担するということで、逆に家族が彼に送金せねばならなかったそうだ。

◆横行する政府による「搾取」

 一般に外国に派遣された場合はキューバ政府が派遣国から全額を受け取り、その25%を派遣された本人に支給することになっているが、例えば11か月分の支給すべき給与が溜まっていても、そこから必ず4-5か月分を差し引き、休暇などに出かける時に残金を支給するというシステムになっていたそうだ。

 パルド・カストロはそれに嫌気がさして本国に送金しなくなった。そうしたら電話番号の不明先から頻繁に電話がかかるようになって契約を破棄されキューバに戻るように指示された。帰国はマドリードで経由だったということで、そこで亡命申請をしたそうだ。

一旦、亡命するとミッション用に支給されるパスポートも無効となり、仮に医療活動をするとなっても闇での就労となってしまう。パルド・カストロにとってこれから厳しい現実に直面せねばならない。

 医療団としてベネズエラに派遣されていた時に逃亡してグアンタナモの総合病院で働くようになったある医師(匿名希望)は前述のNGO組織に彼の経験談を語ったそうだ。それによると、「ブラジルやベネズエラに派遣される医師は事前にミッションの為のコースを受けることになっている。そこではキューバにおける現状や給与について話すことは厳禁。そしてキューバの医師は世界のどの国の医師と同じような生活している。我々はキューバの大使のようなものだ、というのが義務となっていた」と述べたことが『Diario de Cuba』紙の2月21日付の記事になっていた。

◆医療団派遣の一方でキューバ国内の医療状況は……

 次にキューバ国内の医療事情について触れた記事がキューバの独立系電子紙『14ymedio』(2月20日付)で掲載された記事を紹介しよう。

 それは同じく外国に派遣された経験を持つ医師が匿名希望で同紙に語ったものだ。それによると、キューバ国内では水不足や手術用の手袋の不足から手術が延期されたり、同じように治療用の医療機器の破損といったことで患者への医療サービスが中止となることが良くあるそうだ。

 また病院や診療所の実態は最悪だという。入院した患者に支給される食事内容は満足するには程遠いもの。最新医療機器による診察になるとその順番が来るまで非常に複雑で診察を急ぐ必要のある患者にとっては人道面での不足が問われるほどに時間のかかるものだという。

 このような実情を抱えたキューバの医療団と国内の医療事情は外国に派遣されて活躍する医療団の姿からでは想像できないほどだ。

<文/白石和幸>

【白石和幸】

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身

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