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読みかけの本のこと。橋下五郎のだけは読了したもの。

エラリー・クイーン「中途の家」。
中途とは、建築途上の意味ではなく、ある地点とある地点の中間地点の意味。例によって描写が煩雑で、不要と思われる情景描写や心理描写が多い。事件もあまり魅力を感じない。
ビガミスト(重婚者)である被害者を殺したのは、おそらく平民である方の妻。金持ちの娘(義理の娘)との間にもこのビガミストはおそらく肉体関係あり。あまり気色のいい話ではなさそうだ。もっとも、第二章の最初のあたりまで読んでの感想である。

法月倫太郎「生首に聞いてみろ」。
描写は丁寧で、ご本家のエラリー・クイーンほど無駄な描写は無いところがいい。しかし、魅力があるかと言えば、魅力は無い。全体に地味である。話の冒頭から読者を惹きつけるだけの魅力が無い。キャラの魅力も事件の魅力もユーモアなどの魅力も無い。要するに、推理小説ではなく、普通の小説を読んでいるような気分。ハラハラドキドキが無い。題名はキャッチ―だが、内容の印象とはかけ離れていて、無理につけたような題名である。まあ、A川Aリスよりはマシか。キャラの作り方は、AAのほうが若者受けするだろう。

「橋本五郎探偵小説選Ⅱ」
これは秀作が多い。昭和初期の無名作家だが、現代の推理小説よりはるかにトリックは合理的で面白く、描写に節度と気品があって読後感がいい。作中のトリックは、「名探偵コナン」などでパクって使うこともできそうである。特に、泥棒の青年が金持ちの自殺未遂娘を救う話は、「怪盗キッド」を出す話にも応用できそうだし。(なお、私は「コナン」のトリックはまったく評価していないし、コナンという小学生を事件解決者とすることから来る無理は噴飯ものだと思っているが、これが多くのファンを持っていることは利用できるだろう、ということだ。)連作らしい作品の主人公の鳩ノ(「鳩」の字は難しい字。ワードでは出ない。)という名前が良くない。
映像的に面白そうなのは、気球の下に若い娘の死体がぶら下がっている話。誰が何のために死体を気球にぶら下げたのか、という謎に、実に合理的な解決を与えている。トリックが三次元的で、解決部分で謎を図解すること自体がアニメ的に面白いと思う。
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