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・時間の可逆性、あるいは可逆的記憶の話。
・主人公は意識を自分の記憶のある部分に集中することで、その時点の自分に戻れる。しかし、戻った時点以降のタイムラインは分岐しているので、そこからは「別の世界」に行くことになる。ただし、本人以外の行動の変更はないので、世界そのものの大きな変容は無く、歴史の大きな変更はほとんどない。彼の周辺だけが変わる。つまり、「リライフ」と言うより「ライフリセット」である。
・体を鍛え直すためには少なくとも6歳か7歳の時点に戻るのが望ましい。意識が70歳であることを隠すためには、うんと寡黙な子供である必要がある。無限の時間があるから、興味のあることをどこまでも研究できる。姿は子供だが、大人の嘘は容易に見抜ける。
・考えると、身体は子供で心は大人というのは「名探偵コナン」であるwww 違いは、コナンは同じ時代のままで体が子供になるのだが、これは自分自身の昔の姿に戻るのであり、時代も過去に戻るわけだ。(エピソードとして、コナン的な活動の話も書く。)
・自分の前に無限に近い時間があるので、主人公は絵に書道に作曲に研究にいくらでも時間が使えるので、趣味の面であらゆる達人になる。つまり、レオナルド・ダビンチである。
・学校図書館と市民図書館で、世界文学と歴史と社会と科学と芸術の本はほとんど読破する。
・暴力的な人間や犯罪者との闘いの話も書く。対処法はほとんど「闇討ち」である。あるいは、大人の協力者を作る。

・主人公の過去への反省。自分は何も見ておらず、何も考えず、毎日の生活を何も味わっていなかった、ということ。フィクションによる脳内世界と現実生活の両立。
・自分が毎日成長し、進歩していることへの喜び。
・中学で野球部に入る。
・主人公がタイムリープした人間であることは最後まで伏せておき、単に「異常に早熟な人間の半生」の物語として描くか。小学校篇、中学校篇、高校篇、大学篇、社会人篇、政治家篇と描いていく。

・話法は一人称か三人称か。一人称だと内面が書きやすいし読者の感情移入も成立しやすいが、他者から見た彼の姿が描けない。逆に、一人称を用いて人間の自己認識と他者による認識の相違を描くのも面白い。(「大いなる遺産」)
・コメディ性をいかにして作るか。無しにするか。単純に、語り手が現実には小学校1年生だが老人じみた内容の話をすることで生むか。つまり「吾輩は猫である」方式である。
・ワトソン的語り手を置くか。

・題名をどうするか。脇役をどうするか。


(題名)「吾輩はガキである」

(脇役)
主人公(語り手)の両親と兄弟姉妹。
学校の教師たち
同級生たち
上級生たち
不良たち

・一人称で少し書いてみたが、面白くない。つまり、事件が存在せず、単なる一人語りになるのである。これはたとえばサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」でも同じで、「事件」らしい事件はほとんど起こらない。主人公が学校をやめる話だけである。後は主人公による社会批判、人間批判だけで、語り口の面白さが無ければエッセイだ。それでも主人公の妹など、「登場人物」はいる。

・やはり、推理小説のように殺人事件でも起こらないとダメだろうか。或る意味、ドストエフスキーはそれである。バルザックがドストエフスキーほど人気が無いのは、そこだろう。

・殺人には限らないが、或る種の暴力の存在はほとんど必須なのではないか。私自身が完成まで至った作品は、暴力や「事件」が存在するものがほとんどだ。


・殺人事件、または暴力が連続する条件や舞台は何か。たとえば「ブラックラグーン」などは、街自体が暴力と殺人の街である。しかし主人公には暴力属性は無いため、「巻き込まれ型」の話になる。キャラがたくさん登場し、その大半が魅力的である。そのキャラ作りの面を工夫すべきだろう。
・時代や状況が暴力的な場合もある。戦時中の話、あるいは暴力が支配の条件だった中世や古代の話。現代は、暴力が日常の表舞台から隠されている隠微な暴力の時代である。

・主人公の上昇感覚と能力発揮の快感は重要。

・「涼宮ハルヒ」の話は、実はSF要素がゼロでも面白いはずである。実際、ハルヒ自身は自分の周囲のSF的状況に気づいていない。しかし、彼女の奇行が原因で面白い事件が起こっている。これは、彼女の超能力とは無関係でも面白いはずだ。つまり、「事件を起こすキャラクター」がいれば、涼宮ハルヒ的世界は作れるということだろう。この点に関して、ヒッチコックが、「登場人物に、水一杯でも何でもいいから『欲しがらせる』ことだ」と、ドラマの本質を述べている。

・SF的要素の無い「涼宮ハルヒ」的世界が「氷菓」と言えるかもしれない。この場合、「事件を起こす人間」は千反田エルということになる。語り手の立ち位置もキョン的である。この二つの作品の相違は、前者がSF、後者が推理小説の風味であることだろう。そして人物全体のキャラの魅力が後者は薄い。陰険な人物が仲間にいるというのはあまり愉快ではない。もちろん、それによって出来事に陰影が生まれるのかもしれない。

・舞台を大学にした場合、「行事」があまり無い、というのが最大の問題になる。(高校や中学というのは行事の宝庫である。)したがって、大学ではもっぱら恋愛と性的関係の話が中心になる。大学生活を描いた「面白い」話は非常に少ない。それは、「行事」がほとんど無いからだと私は思っている。しかし、アルバイトなどでの「本物の社会」との関わりを入れれば、高校生の気楽な浮遊生活とは異なる「重い現実」の要素を含む娯楽作が描けるかもしれない。

・ちなみに、高校生活の浮遊感覚を描いた系譜は「漫画版うる星やつら」→「映画ビューティフルドリーマー」→「涼宮ハルヒの憂鬱」→「わたモテ」となるのではないか。「わたモテ」の理想が「涼宮ハルヒ」にあることは確かだと思う。しかし、「わたモテ」になるとSF要素はほとんどゼロである。そのため、作中の主な出来事はほとんど学校行事から派生している。

・「氷菓」で一番面白いのは文化祭で、それ以外はあまり面白くはない。
・「ハルヒ」「氷菓」「わたモテ」の三つに共通するのは「映画作りをすること」。(「わたモテ」では、これから作ろうとしている。)

・森鴎外も夏目漱石も「事件」に興味を持つタイプではないと思うが、事件に際しての人間の心理に興味を持ってはいたと思う。つまり、「テーマ主義」だったのではないか。

・何度か書いているが、女性の場合は男と女がくっつくかどうかというテーマが最大の関心の的になるようだ。で、どのような男を好きになるかというのが、分かりにくい。「高慢と偏見」だと、ミスタ・ダーシーは男の目から見ても魅力的だが、それが作品世界では周囲に理解されていないという点が、読者の感興を盛り上げるのではないか。これは「タッチ」パターンかもしれない。できれば、「いい人でも女が好きになるとは限らない」ことの秘密を女性の手で明かしてほしいのだが、たとえば「メゾン一刻」でも、響子さんは五代にさほど惹かれてはいないのが、五代が彼女に死ぬほど惚れていることでだんだんと好きになる。誰かが言ったように「女性は自分を好きになる男を好きになる」ということだろうか。それ以前の、女子高生時代に教師に惚れる件はまったく謎で、周囲がその教師を低く見ているので同情心から好きになったという感じがある。そこから結婚まで行くのも不思議だ。
基本的には、バルザックの作中の貴婦人が言ったように、「女は他の女が好きにならないような男には惚れない」という、付和雷同性が女性は強いと思う(これは、プレイボーイを好きになり、その男と結ばれると、他の女たちが欲しがる男が自分のものになった、ということになる。そういう「自分の価値の上昇」と勝利感が底にある。)が、そうなると、人の知らない性格的美点によって惚れるというのは困難になるのだろう。だからこそ、「高慢と偏見」のベスがダーシーに惚れるのも、ダーシーの隠れた善行によってであるのは自然である。

・SF的な仕掛けというのは、そう見えるほど高度な能力を要するものなのだろうか。確かにタイムワープ(リープ)物は、整合性をつけるのに頭を使うだろうが、たとえば怪獣ものなどはいくらでも粗製乱造されてきた歴史がある。
・推理物に比べるとSF物のほうがセンスオブワンダーがあり、ワクワク感が高いわけだ。そこが「涼宮ハルヒ」と「氷菓」の違いだろう。「わたモテ」になると、SFでも推理でもなく、ただキャラの魅力によって、話の進展に伴うキャラの相互関係に視聴者(読者)が限りない興味を持つわけで、純粋の青春漫画と言えるだろう。

・「エル・ハザード」などは、初期の異世界転生もので、しかも高校生3人と教師1人が異世界に転生するという仕掛けだ。こういうのも案外珍しいのではないか。現在の異世界転生物は主人公1人だけの転生というのが普通だろう。
・「GATE」は異世界転生ではなく、異世界接触物と言えそうだ。ファンタジー的世界と現代の東京との間に穴があいて、お互いの世界に行き来できるというのも、(「犬夜叉」もそうだが)ほかにはあまり無いと思う。一部は「戦国自衛隊」に近い。「タイムライン」も戦国自衛隊パターンだが、装備無しで中世世界に行く点が少し違う。やはり「GATE」があって行き来できるパターンのほうが面白そうだ。

・「あっぱれクライトン」のように、現代での評価が異世界では逆転する、というのも面白いかもしれない。つまり、「全員が美男美女」の世界に行くと、こちらの世界の美男美女はまったく無価値になる、という感じ。「こちらの世界」で、好きな女の子が主人公の友人のハンサム男に恋していると知って失恋したその日にその3人が異世界に転生するわけだ。で、主人公の山男かゴリラめいた男がモテまくり、他のふたりは下男下女扱いになる。













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