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別稿の「意味のある描写と意味の無い描写」から生じる「セオリー」は、小説(物語)というのは何より「事件」が大事だということだ。漫画だと創作法としては「キャラクターが先」、かもしれないが、小説のキャラクターは(読者にとっては)「事件の進行によってキャラが固まっていく」のではないか。「悪霊」のスタヴローギンが何者か、というのは物語の前半ではまったく分からず、そこがむしろ読者の興味を搔き立てるのである。もちろん、外貌描写はあるが、最初はそれだけだ。

ということで、「魔群の饗宴」の「物語」を構築していく必要があるわけだ。「悪霊」とは違って、須田銀三郎と大杉栄を「対立的存在」として描くか。銀三郎は貴族ではあるが社会主義に関心があり、理想社会の実現を「考察対象」にしてはいる。そういう存在とするか。
大杉栄(話の中では兵頭栄三)は、ヤクザな性格と社会改革への情熱が同居した人間。物凄い行動力の持ち主で、そこはピョートルと同じ。銀三郎を「利用」しようとして彼に接近するという点でもピョートルと同じ。(「魔群の饗宴」は「魔群の狂宴」でもいい)
中江兆民をステパン先生的な役回りで使うか。栄三とは特に親子関係でなくてもいい。

山のひとつは、銀三郎と栄三の「社会主義論争」(アナーキズムの不可能性について、栄三が銀三郎に完全に論破される。その際に、彼の「自由恋愛思想」が三角関係相手の女に刺されることで破産していることを揶揄される。)

山の二つ目は、大地震(関東大震災)の際に栄三と恋人が官憲によって殺害される事件。

いわば、一つ目の山が栄三の思想的死、二つ目の山が肉体的死である。

しかし、銀三郎も貴族階級の衰退という運命が待っていることを暗示して話は終わる。(その前に、銀三郎は自分自身のニヒリズムによって精神的に破産していることを示す。)

あるいは、資本家という最高の俗物たちが社会の勝利者になる、という「社会主義の墓碑銘」的なエピローグで終わる。

*後藤象二郎と大杉栄のエピソード(実話)も入れる。社会の支配者は左派さえも操縦する、という話。

*ビスマルクの「国家社会主義」の成功の話をどこかに入れる。(佐藤不二雄に言わせるか)同じく国家社会主義の北一輝も登場させるか。

*佐藤不二雄は柳原白蓮(棚原晶子)の恋人とするか。父親は右翼の大物で、当人は社会主義者。白蓮の悲惨な前半生の話も入れる。

*女性はほかに伊藤野枝(伊野藤枝)と神近市子(神市千賀子)も登場。


*佐藤不二雄と桐井六郎の友情を前半の大きな柱とし、桐井六郎の棚原晶子への失恋と、哲学的自殺、佐藤の妻の登場、銀三郎が狂人の妻があることを告白して前半終わり。(前半の内容として、銀三郎への周囲の期待感、銀三郎の登場、彼の老将軍への奇怪なふるまい、彼への周囲の女性たちの恋着など)(兵頭栄三のアナーキスト活動、社会主義者たちのグループへの接近、支配の試み、銀三郎への接近、政治家との結託の工作、女性関係、神市千賀子に刺される事件など)要するに、三本の柱である。
*後半は佐藤の妻の死産、妻の死、工場の火事、理伊子の死、銀三郎の妻の死で始まる。(死人だらけであるww)田端兄妹の死は、銀三郎に話を持ちかけた男に銀三郎が「勝手にしろ」と言ったことを「殺人の命令」と受け取ったことによる。カネは事後の会談で銀三郎が「うるさそうに」与えるが、その直後に栄三が犯人を殺害し、カネを奪う。「このカネは社会改革に使わせてもらうぜwww」「目的は行動を浄化するんだよ」
*工場の火事が、アナーキストグループの犯行ではないかと疑われる。兵頭栄三が銀三郎の庇護を求める。しかし、アナーキズム問答が始まり、ふたりは決別する。憲兵隊による兵頭周辺への捜索。兵頭の逮捕と釈放。国外逃亡。佐藤不二夫と棚原晶子の接近。駆け落ち。(コマ落とし的に喜劇的に描くのもいい)兵頭教授と北一輝の対面。
*兵頭の帰国。佐藤不二夫の病死。
*関東大震災と兵頭の死。大不況と2.26(的な)事件。大正デモクラシー的空気の終焉。銀三郎が兵頭の墓に向かって独白する(「この国はキチガイと馬鹿に支配されている。もうすぐ終わりだよ」「お前が正しかったのかもしれん」)。この場面で全体の終わり。

(配役)

須田銀三郎:城田優
兵頭栄三:斎藤工
佐藤不二雄:風間俊介:妻を銀三郎に寝取られている。陰鬱な激情家。
桐井六郎:鈴木亮平(岡田将生でも可)いい人だから死ぬ、という点が大事。
棚原晶子:橋本愛
伊野藤枝:長澤まさみ
神市千賀子:満島ひかり
佐藤鱒江:不二雄の妻、銀三郎の子を妊娠している:市川実日子
岩野夫人:貴族:戸田恵子または松坂慶子
岩野理伊子:銀三郎に惚れている。:夏菜または満島ひかり
真淵力也(力弥):理伊子の「家来」的恋人:岡田将生
佐藤菊:不二雄の妹、須田家の養女。銀三郎に惚れている。:北野きい
加賀野将軍:銀三郎に無礼を受ける老将軍。:平泉成または温水洋一
田端退役大尉:古田新太または吉田鋼太郎または香川照之
田端麻里亜:狂人、銀三郎の妻:のん
淵野辺:役人、社会主義仲間:豊川悦司または安田顕
栗谷:社会主義仲間:森山未来
須田夫人:大竹しのぶ
須田清隆(回想):鹿賀丈史または綿引勝彦
清隆の妾(回想):栗山千明または木南晴夏
甘粕大尉:松山ケンイチ

兵頭教授(中江兆民):嶋田久作または平泉成



















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