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この前から、何か小説を書きたいという漠然とした欲求はあるのだが、案が何ひとつ出てこない。その原因を考えてみる。

1)どういう案であれ、すべて既に書かれた作品の焼き直しでしかないという気持ちがある。
2)小説の骨子となる「キャラ」や「事件」を考えること自体に空しさを感じる。
3)現実についての知識が大きく不足しているので、面白い事件を考える能力がない。

とすると、マルキ・ド・サドの哲学的小説かヴォルテールの「カンディード」のような「コンデンス・ノベル」くらいしか書けるものはなさそうである。
多くの作家が、晩年には創作能力を失うのは、フィクションへの関心を無くすからだろう。
しかし、私の場合は、世界を哲学的に把握し理解したいという欲求はまだあるし、それを考察することはまさにレジャー(余暇の満足できる過ごし方)になると予感している。
ただ、人間の愛憎や感情の衝突から生まれる「事件」を扱うのは、かなり面倒くさいし、おそらく私の手に余る。そこで、サドかヴォルテール式の小説が私には向いていると思うわけだ。
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