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「反戦な家づくり」記事の一部だが、佐藤賢一という作家はデビューのころに少し(ほんの数ページ)読んだが、あまり好みに合わない文章だったので、一冊も読み通したことがない。だが、力量のある作家だな、というのは細部の描写などを見ても分かった。しかし、これだけ長い間作家を続けるとは思わなかった。おそらく、ある時期からは下の記事の中の「小説 フランス革命」だけをずっと書いてきたのではないか。それくらいの根気がないと歴史小説というのは書けないわけで、私のような怠け者が歴史小説を書くのは無理だ、と分かる。まあ、単なる遊びとしての創作だから、夢想しているだけでもいいのだがww

(以下引用)

小説フランス革命を読んでいます。

文庫本で18冊もあるのですが、面白すぎて読み終わるのがもったいないので、わざと少しずつ買い足しています。
今、11巻で8月蜂起、共和制樹立の直前です。

この本が止められない止まらない なのは、その時々のメインキャストが入れ替わりで主人公になるからです。
革命のライオンことミラボー伯爵、そしてバスティーユ陥落の英雄デムーリエ、ときにはルイ16世の視点で語られたかと思うと、ロラン夫人になったり、ダントンになったり、もちろんロベスピエールも欠かせません。

そうして臨場感と人間くささが充ち満ちる中で、革命が進行していきます。
デムーランやロベスピエールは恐がりで見栄っ張りの、ある意味普通の若者として描かれます。そのことが、なおさらにリアリティを生んでいます。
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私の夢が、壬申の乱前後の大和朝廷の話と、第一次世界大戦直前の欧州(ロシア含む)を舞台とした冒険小説であると前に書いたが、前者の難点は人名で、後者の難点はどこまで実際の歴史を生かせられるか、ということだ。つまり、後者の場合、実際の歴史を基にしないと面白みも何も無いので、膨大な勉強が必要になるわけだ。
まあ、一二年で書き上げられるものではないだろう。
前者の場合は、たとえば登場人物の思考内容をすべて現代人と同じにし、会話の用語もすべて現代語で書いても、いや、その方が面白くなる可能性はあると思うし、それなら書けないこともないかな、と思う。ただ、人名をどうするかである。たとえば、安倍公房のようにAとかBとやってもいいのだが、そこまでやると読者には親近感が持てないだろう。

一応、最初に考えたテーマの最後の「愛情と執着の対象」について考察してみる。

これは、主人公や作中人物の「愛情と執着の対象」と、作者自身の「愛情と執着の対象」に分けて考えるべきだろう。

なお、「物事を分けて考える」のは、私がデカルトの「方法序説」で学んだ基礎的思考法である。「分けて考える」ことを大袈裟に言えば、「分析」である。分析して考えたことを最後にまとめる「分析と総合」が思考法の基本であるのは言うまでもないと思うが、それ以外に「直観」という大物がいて、宗教的な啓示などはそれである。だから、宗教者は(表面では論理めいた言い方をしていてもその内実は直観だから)論理では説得できない。

主人公や作中人物に愛情や執着の対象が創作上必要であるのはかなり必然的であり、それが無ければ主人公が行動する意味はない。たとえ敵から攻撃されて防御するだけの場合でも、自分の生命への執着があるから防御するのであり、それが無ければ大人しく殺されて話は終わりだ。
物事への執着からの解放を自分の思想の根底とした釈迦の生涯を手塚治虫が「ブッダ」で描くことがなぜ可能だったかと言うと、釈迦の生涯は「人生の根本意義は何か」という問題を解くことへの執着だったからである。

では、作者自身には「愛情と執着の対象」は必要か、と言えば、これも必要である。それは創作自体への愛情と執着だ。それが無ければ創作する意味は無い。ただし、創作の才能は別の話で、創作自体への愛情も執着も無いが、創作の才能はある人間もおり、逆に、才能は無いが創作への愛情と執着はある人間もゴマンといる。私もそのひとりだ。
私は性欲とか物欲とか名誉欲が希薄な人間なので、人間がそういうものを求めて大騒ぎする姿を想像するのも苦手なのである。つまり、「エロ・グロ・バイオレンス」という、大衆小説の三要素が苦手なのだ。だが、壮大な想像の飛躍は好きなので、SFとか思弁的小説は好きだ。昔の小説で言えば、スィフトやヴォルテール、あるいはマルキ・ド・サドの一部の小説などである。(サドの「虚栄の塔」など、実に壮大な哲学小説である。)

とすれば、私自身が書くべきものも、スィフトかヴォルテール、あるいはサドの作品を目標にすべきだろう、と、ここでやっと結論が出たようだ。
だが、書く能力は無いが、書きたい小説というのがあって、それが歴史小説である。特に、「壬申の乱」を中心にした大和朝廷の話と、第一次世界大戦直前を舞台にした政治的冒険小説は、才能のある作家にぜひ書いてもらいたいし、私自身が書けたら、素晴らしいだろうな、と夢見ている。
前に、考察テーマとして挙げた「敵と味方」だが、あまり考察が深まりそうにないので、別のテーマを考えてみる。
創作に一番大事なのは、読者や視聴者の興味を惹いて、先へ先へと読みたい、視聴したい気持ちにさせることで、私は小説の場合はそれを「小説エンジン」と呼んでいる。
で、それは地球の運命のような大袈裟なものでなくてもいいので、毎度引き合いに出すが、オースティンの「高慢と偏見」は、漱石(訂正:サマセット・モームである。)も言うように、特に大きな事件があるわけでもないのに、次のページ、次のページへと読者を引っ張っていく。その正体を大雑把に言えば、ベスとダーシーの恋が成就するか否かという、実に平凡そのものの「問題」なのである。ところが、問題自体は簡単だが、その解答に至るのは容易ではない。そこに読者の興味も増大していくのである。
この種の問題を考えるのは一見容易そうだが、全然そうではない。面倒臭がりの人間(私もそれだ。)だと、結ばれるのが難しいなら、あきらめたら? と考え、先を続ける気もしないのである。つまり、クロスワードパズルを作るようなものだ。作ること自体が面白いと思う人間でないと、作れないのである。恋愛に興味のある人間でないと面白い恋愛小説は書けない。
まあ、私は戦い(戦略)には興味はあるから、書くとしたら恋愛ではなく戦いの物語を書くべきなのだろう。
しかし、「敵と味方」というテーマだとあまり深い考察になりそうもない。なぜ、このテーマを思い付いたのかも覚えていない。そもそも、私は「味方の中にも敵がいて、敵の中にも味方がいる」というような話はあまり好きではないのである。ただし、「敵だった相手が、心を入れ替えて味方になる」話は嫌いではない。その好例が「未来少年コナン」のモンスリーである。
敵として実に手ごわい相手だけに、味方になった時の嬉しさは大きい。これは視聴者が嬉しいのである。主人公側に感情移入しているからだ。
これがゲーム(RPG)だと、敵の時は恐ろしく強いが、味方になるとまったく頼りにならない奴ばかりで、ゲーム制作者はどういう考えでそのパターンが多いのか、精神分析をしたいくらいであるww
かなり酒が入っているし、「創作のための哲学」に関してはメインの問題だと思うので、まともに論じきれるかどうか自信は無いが、やってみる。

私は、「問題と解決」は、創作の基本だと思っている。何かの問題があり、その解決の過程を書いていくのは論文だが、実は小説や脚本でも同じだ、ということだ。

たとえば、幼いころから巨人という球団に入ることを夢にし、それを実現した投手が、実は身長が低いために球が軽く球威がないという「問題」に直面したら、どうするか。当然、変化球の習得に取り組むだろう。これが、「巨人の星」の「問題と解答」だ。
あるいは、命に代えてもいいとまで愛する女性が人妻で、しかも相手が貞潔で不倫が不可能ならどうするか。「自殺する」のが答えである。これが「若きウェルテルの悩み」の問題と解答だ。
その解答が正解かどうかは問題ではない。問題が読者に切実に感じられ、その解答が感動的ならそれでいいのである。
そして、問題と解答は作品全体を貫くこともあれば、部分部分が小さな問題と解答で長々と続いていくこともある。読んだことは無いが「ワンピース」などはそれだろう。ただし、一応、「ワンピースとは何か」という謎(問題)が話の底流にはあるようだ。

私が一番面白く思っているのは、昔の三流漫画家(一応、流行漫画家でもあった。)のひとりが、話の作り方を聞かれて、「主人公をほとんど解決不可能な困難な状況に投げ入れて、そこでその回の終わりとし、酒を飲みに出る。そして、次回の締め切りが近づいたら、その難問に取り組み、頭を振り絞って打開策、解決策を考える」というものだ。これは、第一に、「引き」という、連載物のセオリーを見事に実現している。作者自身が問題の解答を知らないのだから、読者はその「謎(引き)」に夢中になるだろう。次回が待ち遠しくてたまらなくなるはずだ。そして、作者としては、切羽詰まれば知恵は出るわけで、多少強引でも前回の「問題」に答を出せばいいのである。
なお、私が一番面白く思うのは、「問題をホッタラカシにして酒を飲みに出る」という部分だ。そこにこそ、本当の知恵があるとすら思う。つまり、「煮詰まった状態」では頭は堂々巡りするだけで、知恵は出ない。そこでいったん頭を空っぽにする、ということが大事になるのではないか、ということだ。(別の言い方をすれば、自分が酒を飲み遊んでいる間に「無意識」という見えない仲間に仕事をさせるのである。)



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