千葉県我孫子市の小3女児殺害事件で、県警捜査本部はリンさんは自宅を出てすぐ事件に巻き込まれ、犯人が車で移動して遺体や所持品を遺棄したと断定して捜査を展開。防犯カメラやドライブレコーダーの解析などを進めていたが、現場の遺留物から検出されたDNA型が、渋谷恭正容疑者(46)特定の決め手となった。
捜査関係者によると、リンさんの自宅から六実第二小までは約600メートル、子供の足でも約10分の距離だが、いなくなった3月24日早朝は誰もリンさんを目撃していなかった。通学路には登下校を見守る地元住民が立っていたがリンさんを見ておらず、通学路の防犯カメラにもリンさんは写っていなかった。
これらのことから、捜査本部は家を出て5分以内に犯行に巻き込まれた可能性が高いとみて捜査。捜査幹部は「リンさんが1人で通学するタイミングを見計らっていたのかもしれない」と犯人像を分析していた。
遺体の発見現場は、リンさんの自宅から北東に約12キロ。ランドセルは遺体から北西約24キロの場所で見つかった。犯行が広範囲にわたっていたことから、捜査本部は車が使われたと判断。国道6号など幹線道路のドライブレコーダーのデータを集め、解析作業を進めていた。
遺体やランドセルの発見現場はいずれも人通りが少ない目立たない場所で、捜査本部は現場に土地勘のある者の犯行との見方を強めていた。「遠くに住んでいる人間が犯人とは考えにくい。通学路の構造などに熟している、近くに住む者の犯行とみていた」(捜査関係者)
捜査本部は画像解析とともに現場の遺留物の鑑定を進め、第三者のDNA型を検出。リンさんの自宅そばに住んでいた渋谷容疑者が浮上した。
遺体が橋の下の見えない位置に遺棄されたことから、渋谷容疑者は事件の発覚を遅らせようとした可能性もある。捜査幹部は「本当に隠蔽を図るなら、遺体を川に捨て、衣服を燃やすなどの手段もある。捜査の撹乱(かくらん)を狙ったり、犯行を誇示しようとしたりしているようにも見える」と指摘。「学校の関係者が逮捕されたことは衝撃だ。ようやく犯人が逮捕されたばかり。まだ分からないことは多い」と話している。