リノリウムって何ですか?
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- 質問日時:2014/09/10 01:30
- 回答数:7件
小説を読んでいるとやたらとリノリウムという単語が出てきます。
これが前々から気になって仕方ありません。
しかしネットで調べても亜麻仁油を主原料とした床または壁材だといういうとはことはわかったのですが、どんな特長や、木材と違って有利な点は何なのか。
なぜ小説に「フローリング」という単語は出てこない(私は見かけない)のに、「リノリウム」という単語は古今東西を問わず出てくるのが不思議でなりません。
何となくカビや雑菌が繁殖しにくく広い場所にも施工が簡単で適度な弾性のある病院の床材のような物かなと思っているのですが合ってますかね??
そして繰り返しになりますがなぜそれが小説にしつこいぐらい出てくるのか仮説でも良いのでどなたかご回答ください。
A 回答 (7件)
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No.7
- 回答日時:2014/09/16 10:51
「リノリウム」の詳細についてはすでにお分かりでしょう。
以下は「青空文庫」の作品群に登場する例です。「青空文庫」は死後50年経って著作権の切れた作品しか載っていません。(原則です)「フロ-リング」が一度も登場しないのは、ここ50年以内に使用されるようになったかでしょう。のタタキで、あと十畳ばかりの板の間に穴だらけのリノリウムを敷いて、天井には煤ぼけた雲母紙が貼ってあっ 夢野久作「鉄鎚」
だろうか。朝子は二重に厭な心持がして、社長室のリノリウムを踏んだ。 建坪の工合で、校正室は、社長室を 宮本百合子「一本の花」
から辷り降りたまんまジッとしていたものらしい。リノリウム張りの床の上に足の平を当てて、尺蠖のように一 夢野久作「一足お先に」
ひとりは窓の方を眺めながら云った。そういえば、リノリウムの廊下まで、べとべとと湿気ていたし、ガラス窓 原民喜「秋日記」
て、楽屋用の新しい座布団を敷いただけのもので、リノリウムの床とスレスレの半円窓の近くにカラカラに乾い 夢野久作「二重心臓」
、節子はすぐベッドに寝ているように命じられた。リノリウムで床を張った病室には、すべて真っ白に塗られた 堀辰雄「風立ちぬ」
ット鍵穴に眼を当てた。 患者控室は十畳ばかりのリノリウム張りであった。そのまん中には、薄暗い十燭の電 夢野久作「復讐」
扉に近い健策が大急ぎで把手を引くと扉の外の暗いリノリウムの床に、白い服を着た品夫が横たわっていた。 夢野久作「復讐」
塗りの扉を開いて、薬局の廊下に這入ると、真暗なリノリウムの上を、やはり一直線に進んだらしく、間もなく 夢野久作「復讐」
で両袖を抱えつつ、開いたままの扉の間から、又もリノリウムの廊下に辷り出た……と……今度は左に折れて、 夢野久作「復讐」
卓掛、ナプキン、レエス、……「敷物。畳、絨毯、リノリウム、コオクカアペト……「台所用具。陶磁器類、硝 芥川龍之介「たね子の憂鬱」
れらの扉の前に佇んだ。私は暫くためらった後に、リノリウムの上に足音を忍ばせて、マントをかぶってそっと 渡辺温「可哀相な姉」
失くしてもいいんです。」 しかし、彼女は青磁のリノリウムに花の浮いた波浪をつくると、突然、佗しさを堪 吉行エイスケ「東京ロマンティック恋愛記」
抛物線を描いて、横筋かいに照し出している茶色のリノリウム張りの床の上には、そうと察して見なければ解ら 夢野久作「暗黒公使」
う話しかけたまま、静かにあたりを眺めまわした。リノリウムの床には何脚かのベンチも背中合せに並んでいた 芥川龍之介「春」
めていた私の目前で葡萄蔓のようにからんで、青いリノリウムのうえにMELINSの扱帯が夜光虫のように円をつく 吉行エイスケ「大阪万華鏡」
>ここ50年以内に使用されるようになったかでしょう。
そんな事情もあるんですね。やっぱ聞いてみるもんですね。
たくさんの紹介ありがとうございます。
こうしてみると「リノリウム」を使わなくても情景はそれなりにわかりそうなものですが、
使うということはやはり特別な思いがあるのでしょうね。
No.6
- 回答日時:2014/09/11 18:48
小説にフローリングが出てこない理由ですが(出てこないとは私は思いませんが)、
1.おそらく小説家にはインテリが多いのでフローリングというのが和製英語であって木の床のことを意味しないとわかっているからだと思います。(1980年代ぐらいからの言葉だと思われます)
2.1と関連していますが、ひとつは床の描写として「フローリング」では意味が通じにくいからでしょう。
3.小説が書かれた時期によります。1970年代以前でしたら「板の間」「木の床」であってフローリングという言葉は無い。
4.翻訳小説の場合、1の理由で小説を翻訳する人は木の床のことをフローリングと訳すのが心苦しい。
(ただ私はミステリーか何かの翻訳で見た事があるような気がします。)
日本でいうフローリング=木の床のことは wood floor です。
例えば英語版のwiki,“ Flooring ”の項目では
Materials almost always classified as floor covering include carpet, area rugs, and resilient flooring such as linoleum or vinyl flooring. Materials commonly called flooring include wood flooring, ceramic tile, stone, terrazzo, and various seamless chemical floor coatings
となっていて、resilient flooring = 弾力性床材としてリノリウムとビニールフローリングがあげられています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Flooring
英語で flooring は床材・床貼りの意味でしかなく、材質が木という意味ではないです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sustainable_flooring
http://www.inspireflooring.co.uk/
http://www.faburous.com/bedroom-designs/amazing- …
>小説にフローリングが出てこない理由ですが(出てこないとは私は思いませんが)、
ちょっと捕捉になりますが、私はのほほんとしたいわゆるホームドラマや恋愛ものを読まないのでそう思うのかもしれません。
1.これは知りませんでした;ご指南ありがとうございます。
4.確かに間違いとわかっている言葉はいくら世間に浸透していても出版物には使いにくいですね。
ご解説ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:2014/09/10 12:52
床材の商品名です。
(リノリュームとも言う)ジュートの粗く織った基布の上にコルク粉・木粉・石粉・(着色する場合は顔料)を松脂と亜麻仁油を結合剤として着けて作ります。
http://www.forbo-flooring.co.jp/default.aspx?men …
http://allabout.co.jp/gm/gc/28211/2/
http://moribitonokai.net/dictionary/linoleum
http://www.abc-t.co.jp/press_archives/2012/linol …
現在も東リはじめいくつかのメーカーで使われている商標です。
しかし、クッション性のある床材の通称として使われるようにもなってきています。
この場合材質は塩ビ製のようで、家庭用クッションフロアと同じです。
ダンスの練習場や舞台で使われる場合塩ビ性の物でもリノリュームと呼ばれています。
今日本でリノリュームの商標を使っている東リのもとの社名は「東洋リノリューム」で、「1919年にリノリュームの東洋初の製造会社として創業」だそうです。
http://www.toli.co.jp/newsrelease/news20090122_a …
小説にしつこいぐらい出て来るのは昔の小説だとしたら、近代的な素材であることの描写であろうと思います。(それまでは木の床か石の板を貼った床、絨毯)
塩ビのクッションフロアができる前はその手のプラスティックな床はリノリュームしかなかったのでリノリューム=クッションフロアと考えても良いでしょう。
>床材の商品名
これも初耳で聞いてよかったです。
キャタピラみたいなもんですかね。誰もが知ってるアレが実は登録商標という。
>小説にしつこいぐらい出て来るのは昔の小説だとしたら、近代的な素材であることの描写であろうと思います。(それまでは木の床か石の板を貼った床、絨毯)
なるほど、さりげなく(当時)近代的な建造物であることを示唆してもいるわけですね。
ありがとうございます。
No.4
- 回答日時:2014/09/10 08:38
古来、和式床では、木板張りには茣蓙(ゴザ)や蓆(ムシロ)、畳敷きでは油団(ゆとん)が使われていました。
http://www.handmadejapan.com/features_/ft007_01. …
明治・大正期に公共のコンクリート建築の普及とともにコンクリ床に、ノンスリップと弾性付与のカーペット敷きとして、リノリウム張り、ゴム張り、アスファルト張りがなされました。
小説でも頻繁に現れるというのはこの頃のものではないでしょうか。
「反対に東側の半分の床は、薄いホコリを冠った一面のリノリウム張りになっていて、」(夢野久作「ドグラ・マグラ」)
戦後、コンクリート製ビルなどには洋式弾性床張りとして、タイル様式となったリノタイルが、さらには塩ビ(VA)などPタイルが普及しました。
東リ
http://www.toli.co.jp/newsrelease/news20090122_a …
サンワ
http://www.sanwacompany.co.jp/shop/c/c326811/
またマンションなどにおいて、洋式床板としての木製フローリング床にも、防音や断熱を兼ねたコルク組成の環境配慮型の安全素材として、近年改めてリノリウムが見直されてきています。
http://www.kenzai-navi.com/main/company_products …
私はあまり国籍・年代を気にせず小説を読んでいるのでなんとも言えないのですが、
いろんな作品に「リノリウム」という単語は出てくるし、
作品によっては何でこんなに何度も?と思っています。(具体的にどの作品か即答できず申し訳ありませんが:)
逆に床材について、例えば「明るい基調のフローリングで」とか、「コンクリートむき出しの床で」とか、
私個人としてすんなり入ってくる表現は少ないように思います。
「ドグラ・マグラ」はまだ読んでいませんが、どこかの紹介で意味不明とか言われてたのでいつか読んでみようと思っている候補作ですw
時代の変遷に沿った解説ありがとうございました。