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話の季節は春ではなく晩秋とし、冒頭部分で書いた情景などは変更する。
鱒江がこの地に来る日に、初雪が降り始める。寒さの中で出産し、赤ん坊は死ぬ。
佐藤富士夫と桐井は同じ下宿に住み、田端兄妹は現在、安い木賃宿にいる。

・大正風味を加えること。田谷力三、浅草オペラ、ジャズ、学校唱歌など。
・「ディアボロの歌(フラ・ディアボロ)」は園遊会の出し物で、芸人のアコーディオンの弾き語りで歌われる。ほかに「天然の美」「恋はやさし野辺の花よ」が歌われる。
・「ディアボロの歌」はさらにエンディングに、「天然の美」は殺人シーンのバックに曲だけで流れる。
・オープニングは「メリーウィドウワルツ」。

脚本に盛り上がりが無いので、社会主義者たちの会合の後にドラマチックな、あるいはスリリングな場面を入れること。いや、それより、佐藤と桐井の会話を入れるか。そこで、佐藤の恋人(鱒江)が銀三郎と共に海外に行った話をする。つまり、佐藤は鱒江が銀三郎とまだ一緒であると思っている。だから、彼がひとりで帰国したことを知って、彼に平手打ちをするわけである。
工場の労働争議に関するシーンをちらりと入れておくこと。労働者へのひどい扱いや低給与の不満を労働者が酒場で愚痴る場面など。
銀三郎の帰国を祝うパーティ(知事主催の園遊会にするか?)(知事の選挙運動を兼ね、招待客は無料、他は有料で一般人も入場可。招待客と一般人の場所は一応ロープで分けられている。有力者のほとんどは須田清隆伯爵に官有物払い下げなどで恩顧を受けている。)の席上で、工場の持ち主である華族が労働者蔑視の言葉を吐く。炭鉱の持ち主である資本家と意気投合する。工場労働者や炭鉱夫の中に犯罪者がいること、アナーキストが彼らを焚きつけていることなど。

恋敵としての理伊子と菊の精神的戦い。理伊子は銀三郎に嫉妬させるために真淵(力弥)少佐を園遊会にエスコートさせる。
田端兄の理伊子への一目ぼれ。理伊子が銀三郎に惚れていることを知って、銀三郎が実は妻帯者であることを彼女に言いたくてうずうずし、そのため不審な行動を取る。
園遊会で理伊子は桐井にその「自殺哲学」を聞きたいと言う。これは理伊子の自己顕示のため。桐井は断る。田端が桐井を茶化す。佐藤が桐井に代わって田端を脅す。次いで、理伊子の質問が銀三郎に自分を高く見せるための自己顕示欲からのものだと指摘する。
鳥居教授が兵頭と同伴して園遊会に現れる。鳥居は兵頭が社会主義者だとは知っているが、アナーキストだとは認識していない。「社会主義者」と同伴したのは、鳥居教授の兵頭への虚勢。実際は、内心ひやひやしている。兵頭は大人しくふるまって、銀三郎への紹介を乞う。「兵頭という名前には聞き覚えがあるなあ。自由恋愛主義者の兵頭栄三さんじゃないですか?」自由恋愛主義についての議論が始まる。「危険思想である」「ふしだらだ」「結婚制度の否定だ」「女性の地位が日本では低すぎる」「女性解放思想と両輪である」「華族の娘で馬丁と駆け落ちしたものがいる」「今の若い者の道徳は地に落ちている」「民本主義というのも、この国の国体を否定する危険思想だ」「自由主義のひとつが自由恋愛主義であり、自由主義そのものが危険思想なのである」
その最中に、佐藤が銀三郎に近づいて何かを聞く。その返答を聞いて佐藤の顔色が変わり、銀三郎を平手打ちする。銀三郎は一瞬、相手を殺しそうな凄い表情になるが、両手を後ろに組んでじっと耐える。佐藤は宴会場を走り出る。桐井がその後を追う。

桐井六郎の「自殺論」のヒント

「ひとりの知者も見いだせない」と語る人に対してこう答えた。「もっともだ、知者を見いだすには、まずその人自身が知者でなければならないからね」

エンペドクレスの死については、エトナ山の火口に飛び込んで死んだ、馬車から落ちた際に骨折しそれがもとで死んだ、などの説が残されているが真偽ははっきりしない。フリードリヒ・ヘルダーリンは神と一体となるためエトナ山に飛び込み自死を遂げたという説を主題に未完の戯曲『エンペドクレス』を創作した。ホラティウスもその『詩論』でこの説について言及し(第465行)「詩人たちに自決の権利を許せよ」(sit ius liceatque perire poetis) と謳っている。

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