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単なる腹案のメモだが、山手樹一郎の「浪人八景」が案外面白く、映画化向きの話だな、と思ったので、とりあえず、12回もののアニメ脚本として書いてみる。題は「金魚姫と三匹の侍」とする。
ただ、話があまりに長いので、どの部分を捨て、どの部分を生かすかが難しいかと思う。旅の途中のバトルはふたつかみっつにし、ラストの「お家騒動の終結」の面倒くさい部分はナレーションで片づけ、ラストは金魚姫と比良雪太郎が結ばれるハッピーエンドにする。長屋で慣れない家事をし、ドジをしている金魚姫の話で大団円。あるいは、雪太郎が勘当を解かれ、家老になり、金魚姫と結ばれ、新しい金魚姫が生まれた場面で終わり。
キャラとして面白いのは、むしろ敵の青野市郎太で、これほど悪辣な方面で頭が回る悪役も稀である。仲代達矢の役回りか。「明朗時代劇小説」の山手樹一郎は、案外、悪事の才能があったかもしれない。ただ、青野市郎太という名前はダメダメだろう。凄みも魅力も無い。
「三匹の侍」は、昔のテレビドラマだが、「三匹の侍」という言葉に著作権は無いと思う。「三匹」としたのは、彼らが浪人である意味だ。そして、「飼いならされた犬」ではない。
エピソードのひとつは、話の中で、周囲に守られるだけで迷惑をかけるだけの金魚姫が、悪人に攫われ、抱えられて、走る馬上にいて、その馬が棒立ちになって二人とも落馬した時、金魚姫がたまたま上になったために悪人が気絶し、だいぶ後の最終の場面で、その時の悪人(重要ポジション)がその怪我で頭がポンコツになって再起不能になった、という話が伝えられ、「じゃあ一番の手柄は金魚姫だったんだ」と皆で大笑いする話。この「偶然の手柄」が、「守られるだけの存在」だった金魚姫への視聴者の悪印象を軽減できるかと思う。
実写だと、可愛くて無邪気で一途な金魚姫を演じて視聴者に好感を持たせるのは難しいかと思う。アニメだと、「可愛いは正義」で、すべて許されるのではないか。
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