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SF作家の小川一水の文章の一部である。
何かの賞の選評のようだが、「今回の選考作すべてが、様々な形で人間の独善や傲慢、怠惰や冷笑、無知や抑鬱や暴力を押し出しており」というのが興味深い。
SFだけに限らず、文学賞の選考委員に評価されるのはそういう作品(作風)だという「傾向と対策」によって応募者たちは書いただけではないか。
それに、SFというのが、「難問を解決する話」を書くのはむしろ例外であり、科学という面から全人類を俯瞰して眺めるのがその特質だったのではないか。とすれば、悲観的な話というのがその大きな割合を占めるのも当然であり、ヴェルヌはともかく、ウェルズの時代から、「悲観的未来像」は数多く描かれてきたのである。むしろ、「科学の持つマイナス性」をこそSF作家たちは指摘してきたはずだ。
まあ、読んでいて憂鬱になるような作品を数多く読まされるのにうんざりするのは分かるが、そういう作品が多いのは、物を書きたいという気持ちを持つ人間は、いわば「炭鉱のカナリア」のように、時代の空気を敏感に感じ取っているからだろう。



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