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レーニン主義[編集]

[要出典]

第一次世界大戦後に起きたレーニンによるロシア革命は、資本主義発達が比較的遅れた地域における革命であった。ソビエト連邦を建国したレーニンは戦時共産主義を行った後、市場経済を取り入れた「新経済政策」(ネップ)を実行した。しかし、レーニンは、市場経済化が端緒にとりかかったところで死去してしまった。レーニンが、党書記長に登用しながら最晩年にはそこからの解任を図ったスターリンは、レーニン死後の権力闘争の過程で反対者を次々と弾圧する一方、苛烈な農業集団化計画経済体制への移行を通じて、人類最初の社会主義国家建設に成功したと喧伝した。スターリンは、レーニンによって、マルクスの思想の唯一、真正な継承発展がなされたと主張し、マルクス・レーニン主義と呼んだ。

世界恐慌の真っ只中でも目覚ましい経済発展を遂げたと伝えられたこと、第二次世界大戦において強大なナチス・ドイツとの戦争に勝ち抜いたことなどで、ソビエト連邦及びスターリンの政治的威信は増大し、アジア東欧アフリカカリブ海域において、多くの「社会主義国」が生まれて世界を二分した。しかし、1970年代に入り経済発展の面で西側先進国からの立ち遅れが顕著になったこと、政治的な抑圧体制も広く知られることとなり次第にその権威は失墜、1991年ソビエト連邦の崩壊に前後して、そのほとんどは姿を消した。国家自体は維持したまま社会主義体制を放棄したケースもあれば、社会主義体制放棄とともに複数の新たな国家に分裂したケース(ユーゴスラビア社会主義連邦共和国チェコスロバキアエチオピアなど)や、近隣の資本主義国に吸収統合される形で国家ごと消滅したケース(旧東ドイツ南イエメンなど)もあった。

改革開放以降、社会主義市場経済が本格的に定着した中華人民共和国では、寧ろ原始共産主義的だった毛沢東時代とは違ってマルクス主義の経済発展段階の学説に忠実であり、その究極地点こそが共産主義だと認識されている。中国共産党は現在の状態を『資本主義から離脱した過渡期の状態』と規定し、資本主義部門と、社会主義部門との競争による社会主義市場経済(あるいは混合経済)体制を導入している。ベトナム社会主義共和国ドイモイを参照)やラオス人民民主共和国も経済開放政策を導入した。一連の政策は国家資本主義を掲げたレーニン時代のソ連のネップが根拠になっていると思われる。

一方、キューバ共和国は市場経済の導入は限定的で、従来からの社会主義体制を継続している。

朝鮮民主主義人民共和国は、1950年代頃からマルクス・レーニン主義から独自発展したと主張するチュチェ思想に立脚して公式プロパガンダの内容や立場を長らく行っていた。1972年の憲法改正で明文化するに至ったものの、徐々に金日成とその一族への献身と個人崇拝を強め煽るようになり、ソ連や東欧で社会主義政権が相次いで崩壊するとマルクス・レーニン主義に対する言及は減少、2010年党規約から共産主義を削除している。

西欧における「マルクス・ルネッサンス」[編集]

ソ連型のマルクス主義(マルクス・レーニン主義、その後継としてのスターリン主義)に対して、西欧のマルクス主義者は異論や批判的立場を持つ者も少なくなかったが、最初に西欧型のマルクス主義を提示したのは哲学者のルカーチ・ジェルジカール・コルシュだった。

ルカーチはソ連型マルクス主義(マルクス=レーニン主義)に転向したが、ドイツのフランクフルト学派と呼ばれるマルクス主義者たちは、テオドール・アドルノマックス・ホルクハイマーを筆頭に、ソ連型マルクス主義のような権威主義に対する徹底した批判を展開し、西欧のモダニズムと深く結びついた「批判理論」と呼ばれる新しいマルクス主義を展開し、1960年代学生運動ポストモダニズムなどの現代思想に対しても深い影響力を見せている。

またルイ・アルチュセールのように構造主義的にマルクス主義をとらえ直す構造主義的マルクス主義弁証法的唯物論のような哲学的な概念を前提とせず科学としての経済学に依拠して、資本主義を数理的に分析する分析的マルクス主義などもある。

また、多くの哲学者や思想家、経済学者がマルクス主義について言及し考察している。全般的に旧来いわれていたマルクス主義の教条に囚われることなく多様な時には対立も含む諸理論を包み込んで進行している。

上記のような状況の下で、いままで諸潮流の対立もあり編纂する事が出来なかった決定的なマルクス・エンゲルスの全集を作ろうという「新MEGA」プロジェクトが進行中である。

冷戦終結後のマルクス主義[編集]

冷戦終結後、マルクス主義を掲げる社会主義国やマルクス主義の支持者は大幅に減少した。中華人民共和国ベトナムラオスキューバなどは、政治面で一党独裁を維持しながら、経済面で改革開放ドイモイ政策を推進している。また朝鮮民主主義人民共和国は憲法から「共産主義」の語を削除し、独自の主体思想を強調している。資本主義諸国の各国共産党では党の指導性を綱領から外すなど、社会民主主義との類似性が拡大している。

他方、いわゆる新自由主義的政策による格差社会の拡大や、世界金融危機など資本主義経済の不確実性も発生し、マルクス主義の見直しと同時に、部分的再評価の動きも発生した。

批評・批判[編集]

マルクス主義に対する批評や批判は、政治的な右派からだけではなく、左派からも行われてきている。民主社会主義者や社会民主主義者は、社会主義階級闘争プロレタリア独裁によってのみ成し遂げられるという概念に反対してきている。多くのアナキストも、プロレタリア独裁が必要と言う主張に反対してきている。いくつかの思想家は、唯物史観労働価値説などのマルクス主義者の理論の基盤に反対してきている。

社会主義や拡張されたマルクス主義への主要な批判には、経済計算論争[9][10]、科学技術の発展の遅延[11]、動機の減少[12][13][14]、資産の減少[15][16]、実現可能性[9][10][11]、その社会的および政治的な影響[17][18][19][20][21][22]、などがある。



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