まあ、地動説くらいは信じているが、自分の目で見たもの(あるいは電気のように、間接的にその存在が分かるもの)以外はほとんど信じない性分なのである。まあ、ブラックホールが存在しようがしまいが、私の人生や生活には無縁の話だ。
(以下引用)
2019年4月、史上初めてブラックホールの撮影が成功。米科学誌『サイエンス』で、「2019年最大の発見」に選ばれるなど、大きな話題を呼びました。
このプロジェクトの日本代表が、国立天文台水沢VLBI観測所教授である本間希樹さん。
謎めいた存在であるブラックホールのトリビアについて、本間さんがわかりやすく紹介してくれました。
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ブラックホールにまつわる豆知識。人間と同じく「ゲップ」をする!?
自分より大きい星ですら、いとも簡単に吸い込んでしまう“宇宙最強の存在”であるブラックホール。ブラックホールに吸い込む上限はなく、人間と同じように食べれば食べるほど重くなり、太っていくといいます。
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●「ゲップ」によって、地球が生まれた可能性も
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「ブラックホールにはざっくり分けて、軽量級と重量級のものがあります。軽量級はひとつの銀河の中に、何百万個もあると言われています。対して、重量級は、各銀河の中心にひとつだけ存在します」
まだ仮説ですが、銀河の中心にある重量級のブラックホールの重さと、周りにある星の総量には関係があるので、ブラックホールが銀河に何らかの影響を及ぼしたという推測が。
「銀河の中心にある重量級ブラックホールが宇宙にゲップを吐き出し、その勢いで周囲のガスがかき混ぜられたり、圧縮されたりして星が生まれ、銀河を成長させたのではないかと考えている人もいます。その成長の過程で、地球や我々人類が生まれた可能性も考えられるでしょう」
●ブラックホールは真っ暗ではない
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「周りにガスが豊富にある場合、ブラックホールは、『降着円盤』という熱く輝く『衣』をまといます。衣は、ブラックホールの強い重力で引き寄せられた宇宙のチリやガスがぐるぐるとブラックホールの周りを回転しながらつくられています。チリやガスが多いほど、衣は明るくなり、最大で太陽の1兆倍以上! じつは宇宙で一番明るい『クェーサー』という天体も、その正体は衣が明るくなった、ブラックホールです」
●ブラックホールの近くでは時間がほとんど止まる
本来は暗黒の天体でありながら、宇宙一明るい天体でもあるブラックホール。さらに“とんでもない”超能力まがいの性質も…。
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本間さんの最新刊『ブラックホールってすごいやつ』(扶桑社刊)には、ブラックホールだけなく、宇宙、地球、宇宙人に関するトリビアがふんだんに盛り込まれています。冬休みにお子さんが読書するのにもうってつけの本書。ぜひチェックしてみてください。
<取材・文/ESSEonline編集部>
●教えてくれた人
【本間希樹さん】
国立天文台教授・水沢VLBI観測所所長。1971年、米テキサス州生まれ、横浜育ち。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程を修了し、博士(理学)の学位を取得。専門は、超高分解能電波観測による銀河系天文学。特に、銀河系の構造研究と、巨大ブラックホールの研究。現在、巨大ブラックホールを事象の地平線スケールまで分解する、EHT(Event Horizon Telescope)プロジェクトに日本側の責任者として参加