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私たちはダンスホールを離れ、川に沿って歩いた。私は車を持っていなかったのでただひたすら歩き続けた。すぐに道は丘に向かう上り坂にさしかかった。空気は夜に開く白い花の芳香に満たされてきた。私は振り返って、下に広がる工場の黒い姿を眺めた。ダンスホールから、その周辺に、黄色い光が無数の花粉のようにこぼれ、オーケストラは跳ねるような音を奏でていた。風は柔らかで、月の光は彼女の髪を浸しているようだった。
私たちは二人とも黙っていた。あんなダンスの後では、何かを言う必要は無かった。彼女は誰かに手を引かれて道を歩む盲人のように私の腕にすがりついていた。
丘の頂上に来ると、道は松の林に囲まれた野原に続いていた。その広がりは静かな湖のように見えた。どこも等しく腰くらいの高さの草に覆われ、野原は夜風の中で踊っているようだった。あちらこちらに、輝く花が月の光の中に頭を突き上げ、虫たちを呼んでいた。






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