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イギリスの児童文学者アントニア・バーバ(バーバーと発音すべきではないかと思う。)の作品「幽霊」という、ダメタイトルの児童向け小説を読んだが、タイムトラベルをした行先では、その時代の大人にはその人物の姿が見えず、「幽霊」的存在になる、というアイデアはわりと面白いと思う。描写力も優れているが、描写に溺れている感じがある。つまり、何より肝心なキャラの魅力や話の面白さがその分疎かになっている感じだ。その描写も、肝心なところを書かず、どうでもいいところを粘着的にしつこく描写する傾向がある。
肝心なところというのは、主人公の姉弟の年齢が最後まで書かれないところだ。べつにそこに話のキモ、あるいはトリックがあるわけではないので、読者としてはキャラのイメージができなくなるだけの、デメリットしかない。
「幽霊」というタイトルがダメタイトルだというのは、私の主観的意見である。まあ、話の本筋に絡む名詞ではあるが、あまり食指の動くタイトルだとは私には思えない。「幽霊姉弟」くらいのほうが、少年少女の興味を惹くのではないか。で、話の内容から言っても、実は、二組の「幽霊姉弟」(タイムトラベラー)が出る話なのである。ただ、英語だと「姉弟」に該当する言葉が無さそうな気がする。sistersでも brothersでもないわけだろう。
この姉弟が、仲が良さそうですぐに喧嘩をするところや、大人への不信感が強いところは、リアリティがあるが、そんなリアリティなど、読者が喜ぶか、と言えば、疑問である。そのあたりも、作品のバランスが悪いなあ、という感じだ。やはり、人間は「気持ちのいい人間」を好むのである。もちろん、頑固な人間も、その人のモラルの高さから来る頑固さなどは人間的魅力になる。「高慢と偏見」のミスタ・ダーシーなどがそれだ。それは、主人公が子供であっても同じことである。「未来少年コナン」のコナンやラナを愛さない人間は滅多にいないだろう。モンスリーでさえ、その冷酷さの裏には「フェアさ」やモラルが厳としてあるのだ。だから、彼女の敵から味方への転向が視聴者には嬉しいのである。
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