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馬鹿馬鹿しい値段で売られているものの例として医薬品と食品を挙げたが、特にコンビニの弁当など、あの値段で買う人がいるのが驚異である。つまり、家で料理をするのが少数派であるような時代になっている、ということだろう。英国(ロンドン)での見聞では、表通りの店の3軒に1軒くらいはファストフードの店か食堂であり、スーパーなどで買われている食品は生鮮食品ではなく冷凍食品のほうが多いようだ。日本もそれに近づいているのだろう。デフレ社会、低給与社会では外食産業が衰退する、と私は考えていたが、それは逆で、「家庭」を持たない「孤立(個立)社会」では、自分で料理する余裕すらなくなるようである。多少安いかどうかより、「買い弁」「宅配」「ファストフード」のほうが時間の節約になる、ということだろう。それが病的状態であることは言うまでもないが、この趨勢はなおも続くか、より悪化する、と見るのがいいだろう。
さて、我々の生活の中で、食と健康に関する商売はまだたくさんあるだろうが、見落としは後で補足することにする。次は「教育」と「娯楽」だ。

塾などの「教育商売」も、カネがさほど無くても始めることができる商売だが、これも今後は難しいのではないか。いや、やりようによってはいくらでも稼げるとは思うが、私は「教育で稼いではいけない」という考えなので、考察対象にはしない。「儲かる教育商売」とは詐欺の一種に近くなると私は見ている。

では、娯楽はどうか。これは、人間が生きている以上、絶対的に必要なものだし、「恋愛」や「セックス」を娯楽の一種と見てもいいだろう。もちろん、倫理意識の強い人間には我慢がならない考えだろうが。
現在の状況は、ゴルフやスキーに代表される「カネのかかる娯楽」が衰退していて、ネットゲームなどで遊ぶという「カネのかからない娯楽」に駆逐されつつある、と大きく言えそうだ。つまり、庶民にカネが無いのだから、庶民はゴルフやスキーには行けない。庶民が来ないと「絶対数」が足りないからそうした娯楽産業は衰退する。世の中に「超金持ち」が少数いても、彼らの数だけではゴルフ場やスキー場は維持できないのだ。払う料金は金持ちも庶民も同じだから、庶民が一人も来ない娯楽施設は倒産するしかない。
まあ、私にはそうした衰退産業(特にゴルフ場)を改革するアイデアも少しはあるが、これらはもともと大きな資本金を必要とする商売だから、ここに書いても無意味だろう。

娯楽というのは面白いもので、何でも娯楽になる。つまり、カネが無いから娯楽が無い、というのは想像力の欠如した人間の言うことだ。ただ、それを「商売」にするとなると、カネが必要となってくるわけである。しかもたいていは大資本が必要だ。だが、そうでない例もある。
簡単な例を言えば、昔は「駄菓子屋」というのがあって、そこに「くじ引き」付きの甘納豆などが売っていた。当たりが出たら、子供だましの景品がもらえるのだ。子供のころの私はこれに夢中だった。いつか一等を当てるのが夢だったわけだ。
これは大人がパチンコをやり、競馬をやり、宝くじを買うのと何も変わらない。「合法的ギャンブル」なのである。違いは、大人は子供だましの景品など欲しくはないから、「甘納豆くじ」は買わない、ということだ。だが、原理は同じである。しかも、小資本でできる。
たとえば、ゴルフなど、ゲームの実体は「子供の遊び」である。地面に掘った穴に小さなボールを入れるだけのことだ。それにいい大人が夢中になり、高いクラブを買い、高い料金を払ってプレーをする。
素人からプロまで、スポーツにおいて自分の技術を磨き、それをプレーで確認する喜びは共通だ。そこがギャンブルとスポーツの違いでもある。ギャンブルは運任せである。
スポーツ性とギャンブル性が娯楽の柱だろう。
もちろん、単なる「鑑賞」という娯楽もある。ストリップを見るのは、あれは鑑賞なのか? それとも別の意図があるのか、私には分からない。ああいうのを見たがる男どもの気が知れない。だが、絵画鑑賞は高級な趣味で、ストリップ鑑賞は低劣な趣味だ、という区別も、我々を自由な考察から疎外する障害としての「常識」だろう、ということを指摘しておきたい。ついでに言えば、「自分の体に自信のある女は裸を見せたがる」ものだし、そういう女性の中で、性的アピールでカネを稼ぐことへのためらいを持つ女は少数派だろう。体でカネを稼ぐというのは女の武器だし、男でもそういう「色を売る」男も珍しくない。ただ、これらは犯罪や犯罪組織、人生の破滅と常に隣り合わせの商売である。ギャンブルのほうが、まだ健全な娯楽だと言えるだろう。

以上、(ギャンブル、スポーツ、鑑賞)という娯楽の3要素を考察してみたが、もちろん、「商売」としての考察はまだである。それを次回にやってみたい。


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