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「世界史の窓」から転載。
私は蘇我氏が大和朝廷の財政を司っていたことから、蘇我氏は楽浪郡の官僚の家柄で、楽浪郡の滅亡の後、(途中経過はあっても)日本に移住して大和朝廷の官僚のトップになったのではないかと推理している。
「家」の知的水準はその家の歴史や、家伝の書の有無によるものだと思うからである。官僚の家系だから、官僚的な技能が受け継がれたわけだ。財務官僚に必須の計数技能など、家伝の教育のためだろう。
なお、中臣鎌子が蘇我物部戦で物部氏に味方していることから、中臣鎌足(鎌子)の出自については再考するべきだろう。まあ、百済系渡来人の家系であるとは思う。だから、中大兄皇子に百済ひいきの影響を与えたのだろう。


(以下「世界史の窓」から転載)

楽浪郡

漢の武帝が朝鮮半島に置いた直轄地である四郡の一つ。現在の平城付近に置かれ、漢・後漢・魏・晋の各王朝の朝鮮支配の拠点とされた。313年に高句麗によって滅ぼされた。

朝鮮・東夷伝

「東夷伝」による諸民族
黄色が郡県制支配が及んだ範囲
井上秀雄『古代朝鮮』p.57 をもとに作図

 衛氏朝鮮を滅ぼした漢の武帝は、前108年、その地に郡県制をしいて直接統治を行った。そのときおかれたのが楽浪郡、玄菟郡、臨屯郡、真番郡の四郡であるが、楽浪郡は現在の平壌付近に置かれた。他の三郡の位置ははっきりしないが、臨屯郡、真番郡はまもなく廃止され、玄菟郡もたびたびその管轄地域を変更しているのは、現地の朝鮮民族の抵抗があったためと考えられている。その後、楽浪郡が朝鮮半島支配の拠点として存続し、後漢でも継承された。
 楽浪郡のなかには行政区域として県が設けられ、郡には太守、県には令の役職があったが、いずれも漢人が任命された。楽浪郡は現在のピョンヤン(平壌)を中心に、直接的には朝鮮半島北西部を支配したが、その周辺の朝鮮系諸民族、北東の濊族や貊族(後の高句麗)、南の韓民族、さらに海を越えた倭(日本)からの朝貢使節なども受け入れ、漢の出先機関、あるいは漢文化のショーウィンドーの役割を担った。 → 平壌の項を参照

日本への影響

 前2世紀の末、漢の支配が朝鮮半島に及んだことは、当時弥生時代で農耕が始まり、国家の形成の段階に入っていた日本列島に大きな影響を与えた。『漢書』地理志に、「楽浪の海中に倭人あり、分かれて百余国となる。歳時を以て来たり献見す」とあるのが日本人が中国の史書に現れる最初である。

帯方郡の設置

 3世紀の初め、遼東で独立政権となった公孫氏が、南半分を支配して帯方郡としたが、238年にはが公孫氏を滅ぼし、その支配を楽浪郡・帯方郡にも及ぼした。魏は帯方郡を東アジア支配の拠点とし、239年には邪馬台国の女王卑弥呼が帯方郡を通して魏に遣使したことが『魏志倭人伝』に記されている。

大陸情勢の変化

 魏はまもなく、司馬氏によってその帝位を奪われ(西晋)に交替する。晋はその後、265年に南方の呉を滅ぼして中国を統一、274年には中国東部から朝鮮北部にかけて、昌黎・遼東・楽浪・玄菟・帯方の五郡を統治する平州を置いた。これによって東方諸族の馬韓・辰韓が晋に朝貢するようになった。
 しかし、晋は八王の乱の内紛によって混乱し、五胡といわれる北方民族が華北に進出し、311年には匈奴が都洛陽を占領するという永嘉の乱がおこり、華北は五胡十六国の動乱の時期となる。

楽浪郡の消滅

 このような情勢の中、朝鮮半島北部から満州にかけて有力であった高句麗が盛んに南下の勢いを示し、美川王は311年に遼東郡に出兵し、鴨緑江河口を占領、そのため中国本土と楽浪・帯方郡の連絡は絶ちきられた。
 高句麗の美川王は313年10月、楽浪郡を占領し、男女二千余人を捕虜にした。翌314年にはさらに帯方郡に侵入し、これを倒した。おそらく馬韓・弁韓なども帯方郡攻撃に加わっていたものと思われる。<井上秀雄『古代朝鮮』2004 講談社学術文庫 p.75-76>

楽浪郡・帯方郡滅亡後の東アジア

 楽浪郡・帯方郡が滅んだことは、中国の漢民族による朝鮮半島支配が終わったことを意味しており、東アジアの大きな変化をもたらした。まず、朝鮮南部の韓民族の馬韓・辰韓がそれぞれ統一されて百済新羅が成立、高句麗とともに三国時代を迎えることとなり、日本においても大和政権による統一が進み倭の五王の南朝への遣使が行われることとなる。
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