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チェスタトンの「ポンド氏の逆説」は、推理小説としては面白い「謎」は少ないし、その謎解きも凄さは無いが、その中で「目立たないのっぽ」の謎は面白い。そこで、読むのを中断してその謎の考察をしてみる。

謎とは、「ある事務所の2階で大きな物音がし、1階にいた二人が急いで駆けつけると、2階にいた事務員が長い刀で後ろから刺されて床に縫い付けられた状態で死んでいた。2階にはその被害者しか普段はいなかったが、だいぶ前に来客がいて、その客はとっくに帰った後だった。1階にいた2人のうちひとりは主人公のポンド氏で、もうひとりはそのポンド氏と話をしていた時に『事件』は起こったのだから、犯人ではありえない」

というものだが、書きながら、謎が解けてしまった。これは、「大きな物音がした時」が「殺害の時」だと思い込む錯覚だろう。物音をたてるだけの工作なら、その場に人間が不在でもあらかじめ作っておける。
犯人は1階でポンド氏と話していた男だと思う。と言うのは、その「2階の事務員への来客」はその男の話の中にしか出てこないからである。
まあ、解決がどうなっているか、これから読むつもりだが、さて、どうなるか。


(追記)今、読み終えたが、私の推理は大外れであった。だが、負け惜しみで言うのではなく、私の解答の方がスマートで現実的だと思う。「目立たないのっぽ」という題名には合わない解答だが、チェスタトンの提示した答えは、「目立たないのっぽ」という逆説を成立させるための「無理にこしらえた」、現実性の無い答えだと私は思う。まあ、この短編集自体が、そういう逆説の集まりではあるのだが。だから、推理小説としては出来は良くないと私は思う。一見無理な逆説がなぜ成立するかの「答え合わせ」だけの話の集まりに思えるわけだ。
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