昔の映画「血闘」(原題:スカラムーシュ)をアマゾンプライムで最後近くまで見たのだが、娯楽作品としてはかなり高度な出来だと思う。
主演がスチュアート・グレンジャーで、私は彼の主演作は「キング・ソロモン」を以前に見て、魅力の無い俳優だなあ、としか思わなかったが、この作品では好演である。監督の力量の違いだろう。監督はジョージ・スチーブンスで、確か「シェーン」の監督でもあったのではないか。
で、見ながら思ったのだが、大佛次郎の「鞍馬天狗」は実はこの「スカラムーシュ」の換骨奪胎だったのではないか、ということだ。フランス革命前夜の王統派(貴族)を新選組、民衆派が勤王の志士として、鞍馬天狗がスカラムーシュだとしたら、ぴったり符号する。
いや、そんなことは誰かがすでに指摘しているか、大佛次郎自身が言っているかもしれないが、私は鞍馬天狗にもスカラムーシュにも関心が無かったので、記憶にない。
それにしても「血闘」という邦題はひどい。この邦題をつけた人は、スカラムーシュというのが欧州の芝居や大衆文学の世界でどのような意義を持つか、まったく知らなかったのだろう。
なお、下の解説には出ていないが、映画の原作小説の作者はサバティーニと言ったと思う。大佛次郎の「鞍馬天狗」も、サバティーニの大衆小説を下敷きにしたと思う。あるいは、案外、上記の映画が下敷きかもしれない。見事な換骨奪胎だと一般庶民はその類似性にまったく気づかないのである。
(4月1日追記)某サイトからの転載で、ここには「鞍馬天狗」との類似性は言及されていないが、大佛次郎が「スカラムーシュ」を読んでいたことは明白なようだ。つまり、「スカラムーシュ」から2つの作品を作ったのではないか。どちらも、下敷きにしたスカラムーシュの「フランス革命」を「明治維新革命」に転用したわけである。
起源的には16世紀末,イタリアのナポリに出現したコメディア・デラルテの〈仮面〉の一つで,隊長型。その名のごとく〈小ぜり合いscaramuccia〉(イタリア語)を得意とし,逃げ回るばかりの臆病者である。頭から爪先まで黒ずくめの装束で,当初は羽飾つきの帽子ととんがり鼻の半仮面を着用する。この隊長型人物を下僕役に変え,発展させて17世紀フランス喜劇界に巨大な影響を与えたのが,スカラムーシュことティベリオ・フィオレリ(またはフィオリリ)Tiberio Fiorelli(1604ころ‐94)である。
主演がスチュアート・グレンジャーで、私は彼の主演作は「キング・ソロモン」を以前に見て、魅力の無い俳優だなあ、としか思わなかったが、この作品では好演である。監督の力量の違いだろう。監督はジョージ・スチーブンスで、確か「シェーン」の監督でもあったのではないか。
で、見ながら思ったのだが、大佛次郎の「鞍馬天狗」は実はこの「スカラムーシュ」の換骨奪胎だったのではないか、ということだ。フランス革命前夜の王統派(貴族)を新選組、民衆派が勤王の志士として、鞍馬天狗がスカラムーシュだとしたら、ぴったり符号する。
いや、そんなことは誰かがすでに指摘しているか、大佛次郎自身が言っているかもしれないが、私は鞍馬天狗にもスカラムーシュにも関心が無かったので、記憶にない。
それにしても「血闘」という邦題はひどい。この邦題をつけた人は、スカラムーシュというのが欧州の芝居や大衆文学の世界でどのような意義を持つか、まったく知らなかったのだろう。
なお、下の解説には出ていないが、映画の原作小説の作者はサバティーニと言ったと思う。大佛次郎の「鞍馬天狗」も、サバティーニの大衆小説を下敷きにしたと思う。あるいは、案外、上記の映画が下敷きかもしれない。見事な換骨奪胎だと一般庶民はその類似性にまったく気づかないのである。
(4月1日追記)某サイトからの転載で、ここには「鞍馬天狗」との類似性は言及されていないが、大佛次郎が「スカラムーシュ」を読んでいたことは明白なようだ。つまり、「スカラムーシュ」から2つの作品を作ったのではないか。どちらも、下敷きにしたスカラムーシュの「フランス革命」を「明治維新革命」に転用したわけである。
『鞍馬天狗』評判後、大佛は『照る日くもる日』(1926~1927年『大阪朝日新聞』連載)で初めての新聞小説を担当します。当時29歳。20代の青年が大手の新聞小説を担当すると言う大抜擢でした。
同時期、吉川英治が『大阪毎日新聞』に起用され、『鳴門秘帖』(1926~1927年)を連載し、新聞連載小説のひとつの転機となっていきます。
『照る日くもる日』は、勤王の志を持つ浪人・細木新之丞の子・年尾が主人公です。大旗本・加納八郎と一刀流指南・岩村鬼堂らの佐幕派に、父を殺された年尾が敵を討つ物語です。ラファエル・サバチニの剣士の復讐を描いた小説『スカラムーシュ』を下敷きにしています。
世界大百科事典 第2版の解説
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