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「いつか電池が切れるまで」に引用された小田嶋隆の文章である。
作家が老齢化して創作能力を失う原因のひとつが、「書く習慣を失う」ことかもしれない。高橋留美子のように、漫画を描くのが一番楽しい、という人は年を取っても創作能力は失われないようだ。
素人でも、下手な作品しか書けないことは分かっていても、書くことを続ければ、「創作能力」自体が向上するのではないか。なまじ、自分で自分の作品を批判的に見る習慣があると、書くのがいやになるだろう。


(以下引用)

 アイディアの場合は、もっと極端だ。
 ネタは、出し続けることで生まれる。
 ウソだと思うかもしれないが、これは本当だ。
 三ヵ月何も書かずにいると、さぞや書くことがたまっているはずだ、と、そう思う人もあるだろうが、そんなことはない。
 三ヵ月間、何も書かずにいたら、おそらくアタマが空っぽになって、再起動が困難になる。


 つまり、たくさんアイディアを出すと、アイディアの在庫が減ると思うのは素人で、実のところ、ひとつのアイディアを思いついてそれを原稿の形にする過程の中で、むしろ新しいアイディアの三つや四つは出てくるものなのだ。
 ネタは、何もせずに寝転がっているときに、天啓のようにひらめくものではない。歩いているときに唐突に訪れるものでもない。多くの場合、書くためのアイディアは、書いている最中に生まれてくる。というよりも、実態としては、アイディアAを書き起こしているときに、派生的にアイディアA’が枝分かれしてくる。だから、原稿を書けば書くほど、持ちネタは増えるものなのである。

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