なお、シャコタンという言葉自体がDQNである。
「車高なんて落としてどうするんだ?」という疑問を持つ方がいますが、落とす側にもそれなりの理由があります。今回は、車高を落とすメリットとデメリットを紹介します。
「車高の低いクルマ」には、2種類ある
車高を低くするためにローダウンサスや車高調を組んでいるクルマですが、その目的は2種類あります。
ひとつは"走行性能の追求”で、車高を下げることによって車両の重心を下げ、コーナリングスピードを高めるというもの。
これは単純に重心が下がればいいというものではなく、やり方を間違えるとかえって性能低下を招いてしまうケースもあります。しかし、目的は性能アップなので、そういったケースも”走行性能の追求”に含めます。
また、車高を下げるとともにサスペンションを固めてステアリングを切った時のレスポンス向上を狙うのも含まれるでしょう。
そしてもうひとつが"スタイルの追求"で、純粋にドレスアップ目的の場合です。
とにかく見た目重視で車高を下げますので、理屈では説明できない車高になっていますが、車高を下げること自体が目的なので問題にはなりません。
また車高を限界まで下げることで、ボディ底部を路面と接触させて火花を散らすことを目的としたスタイルもあるなど、周囲へのアピールを高めるためなら何でもありの世界です。
その際は、タイヤのキャンバーも限界までつけたりすることもあり、いわゆるネガキャン(ハの字タイヤ)もセットという印象です。
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車高を下げるメリットは見栄えと低重心
車高を下げる2種類の目的を、もう少し詳しく解説しましょう。
まず性能面から見た場合には、前述のように車両の重心位置が下がります。正確には車高を下げることで、コーナーを曲がる時などに車両の傾く=ロールの中心、ロールセンターが下がるということです。
路面に対しての位置が下がるだけで、車体の中でのロールセンターが変わるわけではありませんが、重心位置が下がるだけでコーナリング時の安定感は増していきますので、その意味では車高を下げるメリットは大いにあります。
また、ドレスアップ目的の場合には、"低ければ低いほどエライ”ということになるので、車高が低いこと自体がメリット。
この場合は、最低地上高にも低さを求めますから、車高が下がりきらない場合は、サイドガードやアンダースポイラーなどを追加して、視覚的に路面ギリギリのクリアランス量を狙います。
昔だとタバコのショートホープが最低地上高の尺度に用いられたもので、「ショッポ(長さ70mm)が入らないくらい車高が低い!」などと感心されたりしたものでした。
そこまですると路面との接触を避けるためにはサスを相当固めないといけませんが、あえて柔らかいサスのままで路面と接触させ、レーシングカーのような火花を発生させられればさらにウケるということで、これもドレスアップ目的で車高を下げる時のメリットになるでしょう。
レーシングカーも車高が低いです
性能面で見た場合、下げ過ぎによるデメリットも少なくない
デメリットに関しても、性能面とドレスアップ目的で、それぞれに発生します。
まず性能面から見れば、車高を下げれば低重心化でコーナリング時の安定感は増しますが、その一方でサスペンションのストロークが短くなります。
それを解決するため、車高は下げつつもストロークを確保する全長調整式の車高調というのもありますが、基本的に高価なため、競技用やレース用などよほど性能を追求する理由が無い限り一般に用いられることは少ないです。
また、車高を下げたことによってロワアームなどアーム類の位置や角度の変化が起こり、その結果としてロワアームが万歳したり固着したような状態になって、サスペンションが適正な動きをできなくなるような場合もあります。
ひたすら平坦なサーキットならともかく、一般公道を走る場合や、あまり舗装状態の良くない場所で行われるジムカーナ競技などの場合は、路面のギャップ(段差)で跳ねて、タイヤのグリップやトラクションが失われることになります。
性能面から見た場合は、適正な車高を選ばないとかえって性能ダウンにつながり、結局ドレスアップ目的のようになってしまいます。
ドレスアップ面からは実用性の低下というデメリット
ドレスアップ目的で車高を下げた場合は、なにしろ性能的なものなどに配慮していないので、走行性能の低下は看過されます。
実用性の低下についての問題のほうが深刻で、ちょっとした段差でもバンパーなどを引っ掛けて傷をつける、割るというのは当たり前、道路上のマンホールに接触して最悪マフラーなどがちぎれ飛ぶ可能性もあります。
車高可変式としたエアサスなどで、そうした路面を乗り切る場合もありますが、通常のサスペンションでただ車高を下げた場合にはそういうわけにもいきません。
また、車高を下げることと直接の関連ではないのですが、キャンバーをつけて無理やり太いタイヤを履かせている場合にはフェンダーやインナーフェンダーにタイヤが接触してしまうので、ハンドルを十分に切ることが難しくなり、車庫入れで何度も切り返さなければいけない場合もあります。
ちなみにリアサスが構造的にキャンバーをつけられない場合に使用するアダプターがありますが、そういったパーツのなかには、十分な強度を持っていなかったり、根本的に装着場所のどこかに無理が掛かってしまうものがあるので、衝撃や構造疲労で破断するリスクもあります。
ただし、そうした事柄のすべてが”車高を限界まで下げるためなら仕方がない”、”デメリットが出るくらい車高を下げてこそかっこいい”という考えもあるので、本人にとってはあまりデメリットではないともいえますね。