忍者ブログ
[733]  [732]  [731]  [730]  [729]  [728]  [727]  [726]  [725]  [724]  [723
15,16世紀の東部ドイツの領主制の実態がよく分かる記述である。この時代、この地域だけの特殊形態と書いてあるが、農奴制全体がだいたいこれに近いものだったと考えていいのではないか。つまり、中世のRPG的な話をある程度リアルに書く時は、こういう状況を頭に置いて書けばいいということである。

(以下引用)


グーツヘルシャフト
ぐーつへるしゃふと
Gutsherrschaftドイツ語

15、16世紀以降エルベ川以東の東部ドイツに発達した領主制の特殊形態。広大な領主農場の存在と領主(グーツヘル)によるその直接経営、村落農民に対する領主の排他的支配を特徴とする。領主は自己の農場を農民の賦役労働によって経営し、市場向けの農業生産を行ったが、農民に対する領主の支配はきわめて強固かつ封建的で、農民は土地を与えられてはいたが領主の許可なしには土地を離れられず、職業選択や結婚の自由もなく、またその子女は僕婢(ぼくひ)として領主のもとで働く義務を負っていた。反面、領主には農民を保護する義務があったが、世襲的に領主に隷属する農民は、その土地保有権にも十分な保障がなく、つねに領主による土地収奪の危険にさらされていた。このような領主―農民関係は、土地領主権のみならず、他のさまざまの支配=保護権(裁判権、警察権、また村長任命権や教会保護権)を領主が一手に掌握したことにより実現され、かつ維持されたものであり、したがってグーツヘルシャフトは、それ自体小規模ながら「国家内の国家」ともいうべき完結した支配領域を形づくっていた。18世紀以降、国家の農民保護政策が領主の支配に制限を加え、また農業労働者による資本主義的農業経営が広まるにつれて、旧来の領主―農民関係は変質を迫られる。そして19世紀の農民解放立法によって、グーツヘルシャフトは解体の過程に入るのである。[坂井榮八郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例



PR
この記事にコメントする
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
冬山想南
性別:
非公開
P R
忍者ブログ [PR]

photo byAnghel. 
◎ Template by hanamaru.