ちょうど100年前の半七捕物帳を読んでたら、岡本綺堂は女も「かれ」って書くんだけど、彼女って言葉、意外に歴史が浅いのかしらん。
小川一水はベテランの作家だと思うが、日本文学には親しんでいないようだ。女性を書き手が「彼」と呼ぶのは明治期どころか大正や昭和でも珍しくは無かったように思う。芥川龍之介や志賀直哉などもそうだったような気がする。
つまり、「彼」は性別とは無関係な三人称だったのであり、やがて英語のherに合わせて「彼女」という言葉が使われ出したのだと思う。まあ、英語かぶれの誰かが使い始めたのが一般化していったのだろう。はっきりと覚えていないが、映画「誰が彼女をそうさせたか」のタイトルが最初なのではなかったか。確か、この映画タイトルは評判になったようだ。戦後すぐの映画だと思う。
なお、「彼」とは必ずしも人称代名詞としてだけでなく、こちらから遠いものを指す「遠称代名詞」が本来の用法で、「彼岸・此岸」はその例である。
(追記)念のために調べてみると「誰が彼女をそうさせたか」ではなく「何が彼女をさうさせたか」であるようだ。公開時期は戦後ではなく戦前だが昭和初期である。ちなみに、「誰が」ではなく「何が」となると、これは欧文に多い「無生物主語」であり、全体的に欧文直訳調の題名になっている。そこが当時はハイカラだったのだろう。
(以下引用)
つまり、「彼」は性別とは無関係な三人称だったのであり、やがて英語のherに合わせて「彼女」という言葉が使われ出したのだと思う。まあ、英語かぶれの誰かが使い始めたのが一般化していったのだろう。はっきりと覚えていないが、映画「誰が彼女をそうさせたか」のタイトルが最初なのではなかったか。確か、この映画タイトルは評判になったようだ。戦後すぐの映画だと思う。
なお、「彼」とは必ずしも人称代名詞としてだけでなく、こちらから遠いものを指す「遠称代名詞」が本来の用法で、「彼岸・此岸」はその例である。
唐沢なをきさんがリツイート
(追記)念のために調べてみると「誰が彼女をそうさせたか」ではなく「何が彼女をさうさせたか」であるようだ。公開時期は戦後ではなく戦前だが昭和初期である。ちなみに、「誰が」ではなく「何が」となると、これは欧文に多い「無生物主語」であり、全体的に欧文直訳調の題名になっている。そこが当時はハイカラだったのだろう。
(以下引用)
『何が彼女をさうさせたか』は、1930年2月6日に公開した日本映画である。帝国キネマ長瀬撮影所製作。
概要[編集]
藤森成吉の同名戯曲を鈴木重吉が脚色・監督した。公開当時に流行し、社会主義思想の影響を受けた「傾向映画」の代表作としても知られる。映画は大ヒットし、浅草では異例の5週間続映という記録を作った。また、翌年には新興キネマで鈴木監督・高津主演で『何が彼女を殺したか』が公開されている。1930年度のキネマ旬報ベストテンで第1位にランクインし、高い評価も集めた。
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