前回書いた田口俊樹訳の「泥棒は図書室で推理する」(原題は「図書室の泥棒」というあっさりとしたものだが、このタイトルの訳はいいのか悪いのか判断が難しい。)の中に、ケネス・グレアムの童話というか、子供向けの小説である「たのしい川辺」に「ウィンド・イン・ザ・ウィロウ」と振り仮名がつけてあり、この種の振り仮名がこの作品(翻訳)には多くて非常に助かるのだが、「ウィンド・イン・ザ・ウィロウ」には頭をひねった。直訳すると「柳の中の風」である。「風の中の柳」なら意味も分かるが、動物の気管じゃあるまいし、柳の中に風があるのは妙である。そこで、(私はこの有名な児童文学を読んでいないので)あれこれ考えたのだが、たとえば、登場人物(擬人化された動物)のひとりが、言葉の言い間違いをする癖があって、それが特徴になっている、という考えなど。一番簡単なのは原題が「wind in the willows」つまり、「柳の林の間を吹き抜ける風」なのではないか、というものだが、まさか英文翻訳家である人間が、英語では重視される単数と複数の違いを無視するという、そんな初歩的な間違いをすることはあるまい、ということで最初に却下した。
そこで、ネットで調べられる限界の確認の意味もこめて、調べてみると、あっさりと「(The)wind in the willows」というのが出てきた。つまり、これが正確な原題だったわけだ。
そこで、ネットで調べられる限界の確認の意味もこめて、調べてみると、あっさりと「(The)wind in the willows」というのが出てきた。つまり、これが正確な原題だったわけだ。
たのしい川べ
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