時代劇ではさっと鞘から抜き取って、敵をバタバタと切り倒していく日本刀ですが、実際にはその重量がどれ位か分からない人は少なくありません。
動かし方から行くと結構軽そうにも見えますが、武器として考えると軽いとあまり威力を発揮しないとも考えられます。
では実際には一体どれ位重い物なのでしょうか。
それとも簡単に振る事が出来る程軽い物なのでしょうか。
決して軽くて持ちやすい武器と言う訳ではない
西洋剣の様にごつごつとした感じだったり、太い感じだったらかなり重いのではないかと想像することが出来ます。刀身に使っている金属は、見た目以上に重いからです。しかし西洋剣ではなく日本刀は、かなりすらっとした細見の剣となっています。だから、もっと軽そうに見えてしまうと言う人もいるでしょう。
しかし実際には結構重たいのをご存知でしょうか。その重さの平均は約1㎏程度となっています。勿論ここには鞘は含まれておらず、柄と鍔等の外装は付けたままと言う状態の時です。ただこれはあくまでも平均となっており、実際には大体800gから1.5㎏位の物が作られている状態です。大体1㎏と言うと、牛乳パック1本分、さらに1.5㎏と言うとジュースの1500mlペットボトル1本分と言う事になります。
これをずっと振っていると言うのはかなり大変だと言うことが想像できるのではないでしょうか。私たちはあのほっそりとした見た目から、勝手に軽いものだと想像してしまっていますが、実は決して軽くなくある程度ずっしりとした重い武器なのです。その為、素振りをするだけでもかなりの筋力トレーニングに実際にはなります。
なぜ時代劇で使っている物は軽そうに見えるのか
日本の刀はかなり細い刀身となっており、非常にすっきりとした印象を与えます。しかしその見た目に反してかなり重みがある為、実際に持ってみると想像していたよりも重たいと感じる人は少なくありません。特に時代劇を見ていた人にとっては、バタバタと何人も倒す事が出来ているのだからある程度軽いのではないかと思ってしまう事も有るでしょう。ずっと持っているのだから、有る程度軽く無ければ持ち続ける事は難しいからです。
ただ注意してもらいたいのは、真剣は確かに鍛錬で何度もたたきのばした鉄でできているので、かなり重たくなっているのです。しかし、実際に時代劇で使う刀は竹を刀身の様に削ってアルミ箔を貼った物や、鋼鉄ではなくジュラルミンを使っている物等が用意されています。金属には色々な種類があり、鉄とジュラルミンも例外ではありません。
だから種類によってもその比重は変わってきますが、構造用の鉄の場合は大体その比重は7.87、ジュラルミンの場合は大体2.79となっています。つまり、同じ様に金属で作られているのですが、実は鉄で作った物の半分以下の重さとなっている物も珍しくありません。だから軽々と片手で振ることだって十分できるのです。
実際の重さと持った時では感覚が違う
大体役1㎏程度の重さが有る日本刀は、その数字だけを見てみるとかなり予想以上に重いと感じる事も有るのではないでしょうか。しかし実は、持ち方によっても体感の重量は変わって来るのをご存知でしょうか。刀自体は柄に刀身を挿入して作っています。刀身は芯に柔らかい鉄を、そしてその周りを鋼鉄で包み、丁寧に鍛錬する事で作られています。
しかしその刀身の長さや重心の位置等では、持つ人によって体感重量が変わってくる事は少なくありません。バランスよく持つ事が出来ればそれ程重たく感じなくても、バランスを悪く持ってしまうと案外その重みを感じてしまう事は少なくないからです。つまり、実際に持つ場合、そして利用する場合、自分にとって握りやすい、振りやすい所を見つけると、その実際の重みよりも軽く持つ事は出来ます。
また長さでも感じる重量は変わり、長すぎるタイプに比べるとある程度短い物を持つ方が同じ重量でも軽く感じる傾向となっています。だからと言ってやはり軽々と持ち続ける事が出来るかと言うと、やはりそう簡単にはいかないのではないでしょうか。
時代劇などで見ていると、案外軽そうに見える物ですが、実は決して軽いと言う訳ではありません。ただあまりにも重すぎるとなるとどうしても武器としては利用し辛くなってしまいます。
そこで軽くする工夫がなされているのをご存知でしょうか。例えばその一つが、刃元から刃先に掛けて細い筋が入っていると言うことです。勿論これはデザイン性を考えた物ではなく、その部分の金属を取り除く事で少しは軽量化する事が出来ると言う訳です。
細いので軽いと思われてしまう事も少なくない物ですが、しっかりと武器としての役割を担う為にもある程度の重量で作られています。ただ、その見た目からはなかなかどれ位重たいのか分からないと言う事も少なくありません。
手元にある場合は実際に持ってみると良いでしょう。また手元に無い場合は、時々試しに持たせてくれるイベントを開催している施設も有るので、そこに行って一度持たせてもらってみてはいかがでしょうか。ずっしりとしたその重みを十分満喫する事が出来るはずです。