『稲生物怪録』のことを谷川健一氏が「愛の物語」と表現していた記憶が、ぼんやりと。小学館の雑誌に談話として掲載されていた気がして、手元の分を探しましたが見つからず。私の思い違いの可能性も濃厚ですが。
「稲生物怪録」を「愛の物語」と言ったのは谷川健一(民俗学者)のオリジナルではなく、稲垣足穂の「稲生物怪録」を下敷きにした作品の最後に、「愛の経験というものは、一度経験すると、それなしではいられなくなる欠点がある」という趣旨のことを書いて、妖怪との数日を過ごした少年が、もはや去った妖怪に「もう一度出ておいで」と呼びかけることで、少年と妖怪との戦いの日々が愛の経験であったという、意想外の指摘をしているところから来たものだろう。この言葉で、単なる面白い妖怪譚であった作品全体がまったく違った色に染め替えられるという、魔術的な終わり方である。
そして、愛についてのこの箴言は、世界中の愛に関する名言の中でもひときわ特異な、思いがけない言葉で、人を愛の本質についての物思いに耽らせる。
そして、愛についてのこの箴言は、世界中の愛に関する名言の中でもひときわ特異な、思いがけない言葉で、人を愛の本質についての物思いに耽らせる。
近藤ようこさんがリツイート
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