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絵描きが意外なところから描き始めるのは知っていたし、ある点から別の点へと描く場所がワープして、それが出来上がると全体の統一性が見事にある、というのがプロの絵描きの特徴だと思うが、漫画だとどうなのか。絵画と違って、点から点へのワープはしないようだ。絵描きでも人物画だと線の連続性を重視するかもしれない。(絵は「線」ではなく、画筆で塗られる無数の「面」の集合として物を描くと言うべきか。)
私が感心したというか、意外に思ったのが、刀を持った侍を描くのに、まず刀(抜き身の部分)から描き始めたことで、なるほど、人物そのものより前景にある物体を先に描かないと、後でやり直しが利かないから、位置的に前にある物を先に描くべきなのだなあ、と思った。
もうひとつは、描き始める前にキャンバスを眺め、そのどの位置に何が来る、というのを、筆を持った手で「アタリをつけて」から描き始めたことだ。これは、実際に手を動かして描く前に手の動作の予行演習をすることで、手の動きが正確になるわけだろう。書道などにも応用できそうである。実際、平田弘史は書の達人でもある。

(以下「竹熊健太郎」ツィッターから平田弘史の公開パフォーマンスについてコメント)

下描き無しの筆描き一発でこういう絵が描けるのも凄いが、人物を描く順番が頭ではなく袴からというのも凄い。




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これも一連の「ホームレス殺人事件」への追加メモ。
出来事自体はキューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」冒頭の一エピソードみたいな話なのだが、下の記事だとそれに女性も参加していた(観客だったのか)ようなところが新情報。

(以下「岐阜新聞」より転載)

ホームレス殺害、過去にも投石 「男女10人で」供述 

2020年04月26日 08:44

送検のため少年を乗せて岐阜北署を出る車両=25日午前8時47分

送検のため少年を乗せて岐阜北署を出る車両=25日午前8時47分

 岐阜市寺田の路上で3月25日、ホームレスとみられる無職渡邉哲哉さん=当時(81)=が倒れているのが見つかり、その後死亡した事件で、殺人などの疑いで逮捕された19歳の少年5人のうちの一部が、事件以前にも渡邉さんや、橋の下で渡辺さんと一緒に暮らしていた女性(68)への投石に関与していた趣旨の供述をしていることが25日、捜査関係者への取材で分かった。

 渡邉さんらは、事件前の3月中旬から4回ほど石を投げられる被害に遭い、岐阜北署に相談していた。

 捜査関係者によると、過去の複数回の投石には、少年5人を含む男女10人ほどが関わっていた。逮捕された5人は朝日大硬式野球部の元部員や現役部員らで、男女は野球を通じた友人だったとみられる。県警は、逮捕した5人以外の少年らの暴行容疑についても今後調べる方針。

 県警によると、5人は3月25日未明、岐阜市河渡の河渡橋の下にいた渡邉さんらに石を投げ、うち安八郡安八町の会社員(19)ら3人が逃げる渡邉さんを同市寺田の路上まで追い掛け、暴行を加えた。死因は頭を強打されたことによる脳挫傷と急性硬膜下血腫だった。

 県警は25日、3人を殺人容疑で、残る2人を傷害致死容疑で、岐阜地検に送検した。

まあ、フィクションを作るのに現実に拘る必要は無いのだが、普通人の想像力というのは案外限定されているので「事実は小説よりも奇なり」という言葉がだいたい正しいことになる。
前回書いた記事の参考になる記事というわけではないが、「死んだホームレスの帰りを待つ野良猫たち」というシーンも良さそうなので、転載しておく。
この二十年以上ホームレス生活を送ってきた女性の人生というのも興味深い。渡辺さんとの交流が副エピソードとして使えそうだ。また亡くなった渡辺さんは仏教に深い関心を持っていたようで、野良猫への慈悲の気持ちに通じるものがある。野良猫に石を投げ、渡辺さんを殺した大学生たちの悪魔的な非人間性と対照的である。

渡辺さんの「夢」(仏教的天国的世界)の話なども、「どですかでん」のホームレス親子の「家」の夢と同じように、エピソードにできそうだ。

(以下引用)

「猫たちが帰り待っている」共に生活した女性語る 岐阜ホームレス殺人

4/27(月) 10:21配信

毎日新聞

 岐阜市寺田の路上で3月下旬、住所不定、無職、渡辺哲哉さん(当時81歳)が倒れているのが見つかり、後に死亡した事件は23日、県内の少年5人が渡辺さんへの殺人や傷害致死容疑で県警に逮捕される展開となった。渡辺さんと共に20年以上路上生活を送ってきた女性(68)は毎日新聞の取材に「容疑者が逮捕されても、渡辺さんは帰ってこない」と、命の尊厳をないがしろにするかのような犯行に、怒りをあらわにした。

 女性によると、渡辺さんは天候が悪い時でも一生懸命空き缶を拾って働く一方、図書館に通って仏教の勉強をしていたという。「勉強したことを、私にも教えてくれた」と振り返る。

 また、渡辺さんは20年前から捨て猫の世話を続けており、「猫がいるから、渡辺さんはこの場所で生活を続けていた」という。猫たちも、自転車の音で渡辺さんの帰りに気付くような仕草をみせていたといい、「猫たちは今も、渡辺さんの帰りを待っている」と悔やむ。

 捜査関係者などによると、逮捕された少年は野球を通じて知り合い、5人を含む男女約10人のグループが、事件前も複数回、渡辺さんらに投石などの暴行を加えていたとみられる。女性は「(事件後も)渡辺さんの夢を見て、眠れない日々が続いた。命は一つ。毎日毎日、なぜこうなったんだろうと考えている」と話した。【横田伸治、熊谷佐和子】

例の朝日大学硬式野球部の五人が石を投げてホームレスを殺した事件だが、下のあらましを読むと、そのままシナリオの梗概にできそうである。

1:ホームレスが野良猫と仲良くなる。
2:二人が遊ぶ描写
3:猫の怪我と、犯人の大学生たちとのもめごと
4:殺害場面。死体に近寄り、顔をこすりつける猫。雨が降る。



3: 名無しさん 2020/04/26(日) 04:15:32.35 ID:zKnN5fzdd
【岐阜】ホームレス男性殺害、朝日大学硬式野球部員ら5人を逮捕 ★2

842不要不急の名無しさん2020/04/25(土) 23:20:46.12ID:MsnM0ONr0


これまでのまとめ

ホームレスの男性が世話していた猫たちがひどいけがをしていて
それを不審に思った男性が警戒していたら猫に石をぶつけていた男たちを発見
そんなひどいことしないでくれと男性が訴えるも男たちは逆上

今度は猫ではなくホームレスの男性に投石するようになる
そのうちの一人が学生証を落としたらしく男性は警察に届け相談した
警察が大学に学生証を照会したことでホームレス男性への怒りが増大

激怒した学生は「きょうこそ許さんぞ」と言って渡邉さんに石を投げたりライトをあてたりし
投石しながら執拗に追いかけ殺害した
ふとした機縁で上橋菜穂子の「旅人シリーズ」のうち2巻「虚空の旅人」と「蒼路の旅人」を続けて読んだのだが、「守り人シリーズ」とは違って、国家対国家の闘争や国家内の政治関係者同志の闘争などが大筋で、「大人の鑑賞」に耐える作品である。だが、子供受けはあまりしないだろう。また、「守り人」シリーズを読んで性に合わないと思った大人は、「旅人」シリーズは最初から手も出さないのではないか。実のところ、私がそうだったのである。私は守り人シリーズのウエットなファンタジー性(異世界描写)が嫌いで、ところどころのアクション場面はいいな、と思ったが、全体としては「好みではない」作品だった。そもそも、「男が妊娠する(卵を懐胎する)」とか、「女に守られる」いう状況自体が、たとえファンタジーであっても男としては気味がわるい。
「旅人シリーズ」でも、ナユグとかいう異世界(異次元世界)の話は出てくるが、全体としては「政治と人間」の物語であり、骨組みもしっかりしている。これだけしっかりした物語を構成できる能力は大したものだと思う。低年齢向け「松本清張」といったところか。(これは私の最大の褒め言葉である。日本近代の最大の小説家は松本清張だと私は思っている。ただし、時代小説に限定される。)
なお、上橋も松本もそうだが、緻密な作品を得意とする作家は、概してユーモア感覚が欠如していることが多いと私は見ている。ユーモア精神というのは「嘘」を嫌うからそれを笑い飛ばす精神だと考えるなら、長大な物語、つまり「嘘の塊り」を延々と書くことに精神が耐えられないのではないかと思う。
古今東西のユーモリスト、ユーモアのある作家は概して短編小説作家である。数少ない例外がバルザックとドストエフスキーだが、どちらも時々ポツンと笑いを出すだけである。
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