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彼は考え続けたが、それは彼がいつも考えるのに費やす時間よりはるかに長い時間だった。
「どうしたんだ?」私は尋ねた。
「そのドワーフの事を前に確かに聞いたことがあるんだ」
その言葉は私を呆然とさせた。
「ただ、誰から聞いたのか思い出せない」
「どうか思い出してくれ」私は切願した。
「やってみる」そう言って、彼は再び考え始めた。
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私が自分が見た夢のことを話し終わった後、彼は座ったまま長い間考えていた。あまりに長く考えているので、私は暇つぶしにelectric bellows(訳者注:意味不明。bellowsはふいごやカメラの蛇腹を意味するようだが、コントロールパネルとは無関係だろう。原作では何なのか、原作を読んでいないので分からない。)のコントロールパネルを磨き始めた。とうとう彼はいつも通り結論に達し、「難しい話だな。ふむ、踊るドワーフか。難しい」と言った。
彼の言葉は私をたいして失望はさせなかった。彼がいつも以上のことを言うとは私は期待していなかった。私はただ誰かにこの夢のことを言いたかっただけだ。私はelectric bellows(訳者注:おそらく、電子メニュー表かと思われる。)を下に置き、もうすっかりぬるくなっていた自分のお茶を飲んだ。















耳部門のパートナーと私は、後の方の仕事のやり方を好んだ。我々は朝のうちに仕事を終わらせ、午後の時間はおしゃべりや読書や、別々の娯楽に使っていた。踊るドワーフの夢を見たその午後、我々のその日の仕事は新たに皺をつけられた耳を壁にかけることで、その後、私たちはフロアに座って日差しを楽しんでいた。
私はパートナーにドワーフのことを話した。その夢の生き生きとした細部まで私は覚えており、それがどんなに微細だろうと、そのすべてを彼に話したのだ。表現するのが難しい部分になると私は頭を振ったり腕を揺らしたり、足を踏み鳴らしたりしてそれを伝えようとした。彼はしばしばうなり声をあげたが、お茶をすすりながら注意深くそれを聞いた。彼は私より五つ年上だったが、頑丈な体格の男で、黒い顎鬚と寡黙な性向を持っていた。彼は腕を組んで考える、その癖を今見せていた。彼の表情を見れば、彼が真面目な思索家で、物事をさまざまな角度から考える人間だと誰でも思うだろう。だが、たいていは彼はしばらく考えた後、「そいつはなかなか難しい話だな」と言うだけだった。
前に言ったように、耳セクションは製象工程の中で一番簡単な部分である。そのパートに従事する工員にはわずかな努力の遂行しか要求しないし、極度の神経集中も不要であり、複雑な機械も使わない。実際の個々の作業の内容も限定されている。労働者たちはリラックスしたペースで一日働くこともできるし、割り当てを午前中に終わらせて午後の時間をフリーにするために自分に拍車をかけて働くこともできる。








新たに再構成された象を不適切な使用から保護するため、象たちはまず象供給会社に購入される。これは公共の専売会社で、この会社は象たちを2週間保有し、その間に彼らに厳しい殴打テストを受けさせる。その後、脚の一つの足裏に会社のロゴが押印され、象はジャングルにリリースされる。我々は通常、1週間に15頭の象を作る。クリスマスシーズン前にはそれが週に20頭に増やされ、工場はフルスピードで操業されるが、私は15頭が適正な数だと考えている。








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冬山想南
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