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脚本(小説)案


貧しさのために大学の学費が続かず、大学を中退してぶらぶらして「いつ自殺しようか」と考えていた青年が、ヤクザにインチキな言い掛かりをつけられて百万円以上の賠償金を請求され、なぜかそれを代わって払うことになった別組織のヤクザの組長(いい加減でひょうきんだが怖いところもある人間)と知り合い(一種の遊宴の連れ)になる。青年の美貌とうぶで真面目なところが気に入られた理由。青年を連れていくと飲み屋の女に喜ばれるのも理由のひとつ。組長はべつにホモではない。青年はそのままこのヤクザの組員(というより居候)になり、組長が心から信頼できる唯一の人間として、いつのまにか組長の跡継ぎになる。真面目な性格は変わらないので、いつも悩むことばかりであり、高校生やスケバンや水商売の姉御やトルコ嬢など、多くの女性たちにも好かれて悩まされる。
「何かいいことないか仔猫ちゃん」にも少し似ているが、その田舎ヤクザ版。


一種のハーレム物だから「なろう小説」みたいなものだが、中心人物たちに関しては黒沢版「白痴」のムイシュキンとラゴージンとナスターシャの関係みたいなものを喜劇タッチで描く。それに、「ヤクザという地位」を利用していろいろと人助けもするので、水戸黄門物的要素もある。

主人公の青年がムイシュキンなのは当然だが、ラゴージンはヤクザの組長。「仁義なき戦い」の山森組長の喜劇性を踏襲。ムイシュキンを尊敬も軽蔑もしているが、何より可愛い奴だと思っている。ナスターシャはクラブの女でラゴージンの情婦のひとり。青年を愛しているが、自分にはムイシュキンのような無垢な人間を相手にする資格はないと思っている。その他、青年に一方的に惚れて攻撃的にアプローチしてくるスケバンや、レイプされそうなところを青年に救われ、青年を好きになる女子高生、ご面相は田舎臭いが頭も性格もよく、青年に何かと尽くし、青年のために命を捨てることもいとわない、聖者のようなホステスなど。


「失踪日記」に出てくる、ボス的カリスマ性のある中年女性と、そのボディガードの大男のコンビ。(他の組にするか、主人公の組の姉御にするか考慮中。他の組にしたほうが面白いか。「ブラックラグーン」のバラライカみたいにできたらいい。)

主人公の「組」にも、荒事専門だが、本質は気の優しい大男がいる。やや知能が低い。主人公と良好な関係を結ぶ。(組員1)他の組との闘争ではひとりで相手全員を叩きのめす。

小柄で猿のような顔のお調子者。(組員2)「瀬戸の花嫁」の「猿」みたいな奴。


組長はこれまでは、組員1と組員2を手足に使っていたが、主人公の青年のような教養と知力のある人間(大学中退とはいえ、学歴もある。)も「戦力」になる、と計算している。
主人公は無口(口が重い)なので、組長は彼を「高倉健みたいな奴やなあ」と揶揄する。









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松本清張のエッセイ「天正十年のマクベス」より、抜粋(文章は一部変更)。

・家康は複数の小禄譜代大名で構成した執政機関(老中部屋)を置き、原則として将軍は親政しない方針をとらせた。しかし、執政の任免権は将軍の手中に握らせた。六代将軍家宣が顔色を動かすことなく老中上座柳沢吉保を罷免したのはその例である。役員人事の独裁権を持つほど強いものはない。だからこそ徳川幕府はとにかく二百五十年以上も続いたのである。
・朱子学は君臣秩序維持にきわめて都合のいい支配階級の学問で、百姓、町人にいたるまでこの忠義精神によって抑圧される。これが明治政府にうけつがれる。
・君に背くものは不忠であるという道徳は徳川幕府になってからでき上った。さかのぼっては足利尊氏にも乱臣賊子のレッテルが張(貼)られた。(中略)日本の中国侵略があらわになってきた昭和十年ごろには、尊氏をほめる者は不忠の臣であり、国体を紊す賊子の徒であるとの声が軍部や右翼方面から上がり、「国体明徴」運動が起こり憲法学者の美濃部達吉は天皇機関説で排撃を受け貴族院議員を辞職せしめられ、不敬罪で起訴された周知の事件となる。
・応仁の乱によってすっかり体制が崩れると、それまで続いたところの将軍の源家や足利家も落ちぶれてしまう。天皇も公家も力はない。もっとも、天皇や公家に実力がないといっても、伝統的な権威というものは続いている。天皇が現在まで万世一系として存続している理由についてはっきり説明できない人が多い。歴史的にみて、天皇よりも実際に力が上だった蘇我氏だとか藤原氏、平氏、源氏、足利氏が、天皇になろうとしてなれなかった理由については、誰もはっきりと説明ができないのである。
・(日本書紀によって)皇室の祖先は神武、綏靖、安寧、懿徳以下何々として皇統が上世いらい日本の知識人の頭脳に灼きつけられた。そこに一種の系統主義というものが生まれたとわたしは思う。だからこそ、藤原氏に実力があっても天皇家に対抗して、自分たちが天皇だといってこれに取って代わることができなかった。源頼朝も足利尊氏も天皇にはなれなかった。系統主義によって周囲が容認しないのである。
・後白河法皇は頼朝と対決した。頼朝の家来、上総権介平広常という者が、なにも法皇に遠慮することはない。法皇をやっつけなさいという意味のことを進言した。聞いた頼朝は、たちまち広常を殺した。こんな人間は、いつまたおのれの地位をひっくり返すかもわからないと恐れたからである。これも系統主義のあらわれである。




図表が見づらいが、大体は分かるかと思う。6歳で尋常小学校に入学し、12歳で卒業、これだけが「義務教育」で、後は家庭の事情や親の考えでその上に幾つかの路線がある、ということだろう。高等小学校と中学校の区別が私にはよく分からない。



複線型の進学システム

  • (4) 学校系統図 大正8年

    (4) 学校系統図 大正8年

上級学校に進学しようとする場合にも、最終的な目標学校に合わせて進路を選択する必要があります。進学できる学校の種類は時期によって異なりますが、総じて「複線型」と呼ばれる複雑な学校制度となっています。

たとえば、高等教育機関まで含めて教育制度整備のほぼ完了した大正8年(1919年)の学校制度を見てみましょう(1940年代以降には戦争という時局変化に対応するため、この教育体制からさらに学校名称や制度が一部変更されます)。(4) は当時の学校の系統図です。この時期は、尋常小学校6年間が義務教育課程です。

尋常小学校卒業後の進路としては、男子の場合には(a)中学校を経て、(a-1)高等学校-大学へと進むルート、(a-2)専門学校へと進むルート、(a-3)高等師範学校へと進むルート、(b)高等小学校を経て、(b-1)師範学校、(b-2)実業学校へと進むルート、さらに(c)として、(c-1)実業学校・(c-2)実業補習学校に進むルートの3つに大きく分けられます。女子の場合も、高等女学校を経て女子高等師範学校へ進むルートと、高等小学校を経て師範学校、実業学校へと進むルート、実業学校・実業補習学校に進むルートの3つに大きく分けられます。女子の場合には、ごく一部の学校を除いて、高等学校にも大学にも進学することは認められていませんでした。



「清張日記」より抜粋。(多少文章を変更するかもしれない。)なかなかこういう知識を明快に説明した書物は無い。

・幕府の称制では、将軍(征夷大将軍)はじめ大名級にたいして天皇から公家の官位に叙任させ朝臣とするのと、幕府が直接に任命する守護大名的な職名とがある。この二重構造は幕府が朝廷の制度を利用した権威主義からきている。たとえば加藤清正の肥後守は幕府の官職任命、主計頭(かずえのかみ)は公家の職名、従五位上はその位階である。擬制的な「朝臣」である。
・公家の官制では「大夫」は四位、五位の汎称である。
・右近は、近衛舎人で天皇外出にさいし輿の右側を警護する下級者名の略。左側につくのが左近。もちろん無位である。(したがって右近大夫というのは有り得ない)
・大夫は、律令制度では宮内庁の各職の責任者。といってもいまの部長クラスだろうが、大夫の上には所属の職名がつく。たとえば大膳寮の長は大膳大夫、となる。俗に云う「無官の大夫」は反語的な駄じゃれである。大夫は四位ないし五位と決まっている。
・職を退いた後にも職名を通称として使ったようだ。
日本語の中には朝鮮語(古代朝鮮語)がだいぶ入っていると思うが、古代朝鮮に関する文献資料が非常に少ないので、現代朝鮮語との類似で推測するしかなさそうである。
李寧熈(イ・ヨンヒ)が、万葉集(の中の枕詞)は古代朝鮮語でまったく別の解釈をするべきだ、という趣旨の主張をした記憶があるが、歌全体が朝鮮語だというのは無理だとしても、一部には朝鮮語が入っていて当然だろう。つまり、現代人の書く文章の中にカタカナ語(外来語)が無数に入っているのと同じである。ただ、和歌となると、外来語を入れることは少ないだろう。つまり、万葉集に朝鮮語がたくさん入っているとは思わないし、枕詞が朝鮮語だとするには、彼女の「枕詞の秘密」(まだ少ししか目を通していないが)にある枕詞の解釈はどうも歌にならないものが大半であるように思う。
しかし、古代朝鮮語の影響が日本語にあるのは確かだろう。

上記の本の中から、これは朝鮮語由来と見るのが合理的かな、と思われるものを少し挙げておく。


秋津島(アギジシム):「アギ」は子、「シム」はそのまま島の意で、「子の島」つまり、朝鮮から見て日本は子の島だという認識を、渡来人たちが持っていたということだろう。

朝(アサ):これは朝鮮も日本も同じ。

天(アメ):これも同じ。

水(ミ):「ミズ」とほぼ同じで、日本でも「み」と読む例は多い。

さざれ(ジャジャレ):小さい、細かい

白(シラ):日朝ほぼ同じ。

千(チ)

三(ミ)

やすみしし(エェシムシジ):八島を鎮めた(「大君」にかかる枕詞)

女(メ)

少女(ヲミナ)




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